古池に飛びこんだのはなにガエル?

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古池に飛びこんだのはなにガエル?

  • 著者名:稲垣栄洋
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 辰巳出版ebooks(2024/06発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784777830961

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内容説明

本書は、「短歌&俳句は生物学の視点があるともっと面白く鑑賞できる!」をテーマに、人気の生物学者・稲垣栄洋氏が名歌&名句で描かれる生き物を解説していくものです。
例えば、松尾芭蕉の有名な一句【古池や蛙飛びこむ水の音】では、「このカエルとは何ガエルなのか」をテーマとしています。俳句においてカエルの定番と言えば、“カジカガエル”なのですが、ここは裏庭にいる“ツチガエル”と著者は考えます。その理由を生物学の視点で解き明かしていくのです。
このように名歌や名句には、生き物や自然について私たちが気付いていない新しい見方や楽しみ方が隠されており、本書は、短歌&俳句が好きな方はもちろん、生き物に興味がある方にも満足してもらえる一冊です。

<本書で取り上げる俳句&短歌の一部> 
(1)古池や蛙飛びこむ水の音(松尾芭蕉)
→古池に飛び込んだのは、何ガエル?
(2)やれ打つな蝿が手をすり足をする(小林一茶)
→ハエが手足をすり合わせるには、理由がある
(3) のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて足乳根の母は死にたまふなり(斎藤茂吉)
→ツバメはどこから亡くなった母を見ていたのか
(4) むざんやな甲の下のきりぎりす(松尾芭蕉)
→カブトの中では、本当にキリギリスが鳴いているのか?
(5) 白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ(若山牧水)
→ハクチョウはなぜ白いのだろうか
…全部で57の句・首を掲載。

<著者プロフィール>
稲垣栄洋(いながき・ひでひろ)
1968年、静岡県生まれ。岡山大学大学院修了。農学博士。農林水産省、静岡県農林技術研究所などを経て、静岡大学農学部教授。中学校、高校の国語の教科書に著書が掲載されている他、昨今は入試の再頻出作家として知られている。
40歳を過ぎてから、中学校時代の国語の先生の勧めで短歌を始める。コスモス短歌会会員。
主著に『身近な雑草の愉快な生きかた』『弱者の戦略』『雑草はなぜそこに生えているのか』『生き物が大人になるまで』『生き物が老いるということ』『植物に死はあるのか』『はずれ者が進化をつくる』『生き物の死にざま』などがある。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Minamihama

16
ツユクサというこの植物の名前に初めて出会うのは、小学校の教科書です。 この植物の細胞はとても大きいので、高倍率の顕微鏡を使わなくても「細胞」を直接観察することができます。 万葉集にはたくさんの歌が収められています。 月草に衣は摺すらむ朝露に濡れてのちはうつろひぬとも 昔の人は露の儚さを感じていました。 花を一夜眺めて泣く無力な少女を想像しました。 朝、他の花は濡れていなかったのに、この花だけ濡れていたからです。2024/09/08

マッピー

15
ふと目に着いた『古池に飛びこんだのはなにガエル?』という書名。さて、件のカエルはなにガエルだったのかというと、ツチガエルであるというのが定説のようです。芭蕉の時代、歌に詠むカエルといえば鳴き声のきれいなカジカガエルが一般的だったのだそうですが、そういう定番の美しさではなく、見たまま聞こえたままを詠んだ中に詫び錆を感じさせたのが芭蕉のすごさ、と言われれば確かにそう。私の好きな与謝蕪村の「菜の花や月は東に日は西に」の月は、満月。なるほど、脳内に浮かぶイメージの解像度がぐんと上がりました。2025/03/27

ひめぴょん

14
健気で美しくはかない生命。生きているからこそ味わえる物事や命の輝きを紡いだ和歌・俳句。時を経てなおその思いを感じ、共感することができる。その生命へのまなざしに科学的解釈を加えた本。なかなか面白かったです。 芭蕉の詠んだ山路のすみれは野の花という定型から外れているが、みたまま、ありのままを詠んだという点で自由で新しいすごさがある。→これに限らず、イメージではなく、目で見たものをきちんと描写することがこういう世界では大切らしい。 キチョウの黄色は尿酸の色という農学者らしい解説もありました。 モンシロチョウが陽2024/08/18

ながしまともよし

4
とても興味深い内容です。俳句で謳われた植物や生き物の実際はどうであったのか、句の詠まれた時代背景を加えて、解説されている。生き物や植物の生態を突き詰めて、作者の心情や風景を推測する。昔と今では、生き物の呼び方が違っていたなど、愉快な知識でいっぱいでした。松尾芭蕉や夏目漱石など著名人のマニアックな俳句も紹介されていて、それも楽しめました。2024/08/02

oooともろー

3
万葉集から現代の短歌や俳句に詠まれてきた生き物。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の蝉の種類は?夕焼け小焼けの赤とんぼとは?勉強になりました。2025/01/11

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