日本語・琉球諸語による 歴史比較言語学

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日本語・琉球諸語による 歴史比較言語学

  • ISBN:9784000256773

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内容説明

比較言語学の目的は,言語間の系統関係の確立にとどまらず,系統関係にある諸言語の祖語を再建し,各言語が祖語の状態から現在の状態に至るまでにどのように変化を遂げてきたのかを解明することにある.文献に記録のない言語史を,比較言語学の手法によってどのように再建するのか.日琉諸語の例に基づいて解説する画期的な書.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

まえがき
第1章 言語史研究における比較方法の位置づけ
1.1 最も古い文献に在証されるものが言語的に古いとは限らない
1.2 諸方言を上代語の子孫と考えることの問題
1.2.1 古典作品の本文批判と原文復元を例に
1.2.2 言語の場合
1.2.3 言語変化に関する前提
1.3 日本語史を文献資料のみによって研究することの問題
1.4 文献以前の日本語の歴史を明らかにする
第2章 言語変化
2.1 言語は変化する
2.2 音の変化
2.2.1 音変化とは何か?
2.2.2 条件変化と無条件変化
2.2.3 音声変化と音韻変化
2.2.4 音変化の類型
2.2.5 音韻変化
2.2.6 連鎖推移
2.3 語彙の変化
2.3.1 派生と複合
2.3.2 借用:漢語・外来語
2.4 類推・再分析
2.5 統語変化
2.6 意味変化
第3章 比較方法
3.1 比較言語学とは
3.1.1 比較言語学の目的
3.1.2 祖語の再建は虚構ではなく仮説
3.1.3 記録のない時代の言語を再建する
3.2 系統関係の確立
3.2.1 言語間の歴史的なつながり:系統関係と借用関係
3.2.2 音対応
3.2.3 音変化の規則性
3.3 日琉語族と他の諸言語との系統関係
第4章 内的再建
4.1 異形態の交替
4.2 内的再建の適用例
4.2.1 連濁とハ行子音
4.2.2 音便と清濁
4.2.3 露出形と被覆形
4.3 内的再建の限界
4.3.1 過度の一般化
4.3.2 内的再建と「発達史」観
4.4 内的再建と比較方法
第5章 系統樹の推定
5.1 類型分類と系統分類
5.2 派生形質の共有に基づく系統分類
5.3 距離行列法による「系統分類」
5.4 琉球諸語の系統分類
5.5 系統関係に由来する形質を見つけるには
5.6 借 用
5.7 並行変化
5.8 改新と保持の区別
5.9 系統樹モデルの限界
第6章 祖語の再建
6.1 音対応から再建される祖形と音変化
6.2 琉球祖語*e,*oの再建
6.3 日琉祖語*uiと* iの再建
6.4 日琉祖語*eと*oの再建
第7章 方言学的なアプローチと文献資料を用いた日本語史研究
7.1 方言学・言語地理学における言語史の再建
7.1.1 方言区画論:共時的分類として
7.1.2 方言周圏論と言語地理学
7.1.3 逆周圏論と並行変化の問題
7.1.4 言語地理学と比較言語学の関係
7.2 文献資料を用いた日本語史の研究
7.2.1 文字から音声・音韻を推定する方法
7.2.2 写本・校定・原文
7.2.3 古語辞典における在証形と推定形
7.2.4 影印の問題
参考文献
あとがき
索 引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うつしみ

14
雪の「き」月の「き」木の「き」、それぞれ万葉仮名が使い分けられている事から、発音に違いがあったと想像できる(yuki,tukui,kəiと発音されていたそう)。また宣教師の記述から現代のハ行はファ行読みだったと推定されている。さらに内的再建という言語学の手法に則れば、上代はパ行読みだったとも想定される。現代日本語と琉球方言は共通祖先の日琉祖語が想定できるが、アイヌ語や朝鮮語は(借用語の関係はあるにせよ)別系統の言語のようだ。トンデモ主張の多い界隈だと思うので、この様な正統派言語学の解説書が出た事が有難い。2024/12/01

tsuneki526

6
音声・音韻を比較検討することにより日本語の祖語を探る書であるけれど、用語がわかっていないと少してこずります。しかし、日本語-タミル語起源説ってトンデモじゃないかと思っていたことに確信が得られたのは良かったです。当たり前のことだけど言葉って音声が先、文字は後なんですよね。時々忘れそうになるけど重要なことです。2024/08/12

だちょう

1
日流祖語を通して言語学の基礎を勉強できる本。自分が言語学素人すぎるので、ついていけないところも多々あり……。琉球諸島の方言を研究するのって、ダーウィンがガラパゴス諸島を通じて進化論を研究するみたいなものなんだろうか(島でわかれているので研究しやすいとかあるのかな)2024/11/30

takao

1
ふむ2024/07/09

中村明裕

0
日琉諸語による比較言語学の概説書という画期的な試み。これまでの比較言語学関係の書籍は主に印欧語族に基づくものであったが、日琉諸語に基づいていて親しみやすい。比較方法そのものと、日琉語史との両面において多くの研究を検討してまとめてあって、初学者にも専門家にも有益だと思う。2025/04/18

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