内容説明
死んだはずの親友・朝日からかかってきた一本の電話。時子はずっと会いたかった彼女からの連絡に喜ぶが、「住所ない」と話す朝日が家に住み着き――。デビュー作にして第171回芥川賞候補作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
241
第171回芥川賞受賞作・候補作、第三弾(3/5)、デビュー作でノミネートなので、当然ながら向坂 くじら、初読です。 タイトル通り多少ややこしいですが、すんなりと読める幻想青春譚でした。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309032078/2024/07/26
nonpono
170
死んだ親友が生きていた、再会、家での同居。17歳のときの交換日記。どうしてわたしはこの設定に惹かれたのか考えた。そうだ、親友ではないがわたしも似たような経験があるからだ。20代の後半くらいから東京の実家に兄弟3人で暮らした。親は秋田で商いをしていた。5部屋あったから、わたしや妹の女友達、弟の麻雀仲間の溜まり場になり、果ては妹の彼氏は短期間、弟の彼女はそのまま住み結婚した。誰かの気配や寝息や衣服の擦れる音は安心感を与えるときもあり逆も然り。本書の帯、「愛おしいのに、疎ましい(うとましい)」、すごくうまいな。2024/10/04
hiace9000
116
容易く折りたたんだり、くしゃくしゃに丸めたりできぬノートのように、人と人や自分の心は収拾がつかず一筋縄ではいかない。主人公・時子の前に現れたのは、死んだはずの大親友・朝日。エッセイ『夫婦〜略〜適温』では、近いゆえに踏み込めぬ夫婦間のもどかしいまでの矛盾をコミカルかつさらりと筆にしていた向坂さん。今作で描くのは複雑に反転し揺れ動く人の心理、人のエゴや頑なで醜悪な拘りか。歓喜→憎悪、愛着→苛立ち、成長→嫉妬、罪悪感→嫌悪感、生→死、やがて愛情は殺意へ…。書名が見事象徴する人の心、それはあなたであり私であると。2024/07/31
菅原孝標女@ナイスありがとうございます
109
なるほどまさしく芥川賞候補っぽい。友人に勧められて読んだが時子の堂々巡りな葛藤がイライラした。自分も同じようなことを延々と繰り返し考え浮き沈みするところがあるから余計に。死んだはずの朝日がかえってきて、それで。なんなんだろう。ちょっと難しいけど不思議な作品だった。思い出は記憶を濾過するというけれど、時子はそれと葛藤していたんだろうな。2026/09/02
シナモン
109
朝日って生きてるのか幽霊なのか…。 ずっと考えながら読んだ。だんだん存在感を増し、時子の生活、人生を侵食していく朝日。時子にとって朝日とはどんな存在なのか。言いにくいタイトルが複雑な時子の胸の内を物語ってる。二人はずっと一緒で良かったのかどうなのか。人に優しくってどういうことなのか。人間関係は難しい。 芥川賞候補作。文藝2024年夏季号にて読了。 2024/07/09




