内容説明
空を中心とするとき、統合するものを決定すべき、決定的な戦いを避けることができる。それは対立するものの共存を許すモデルである――日本人の心理を、中空を保って均衡し合う構造とし、西欧の中心へと統合する心理構造との対比で論じる。関連論考「日本神話にみる意思決定」、吉田敦彦との対談「神話と日本人」を増補。
〈解説〉吉田敦彦/河合俊雄
(目次より)
Ⅰ
神話的知の復権
『古事記』神話における中空構造
中空構造日本の危機
Ⅱ
昔話の心理学的研究
民話と幻想
「うさぎ穴」の意味するもの
日本昔話の心理学的解明
Ⅲ
現代青年の感性
象徴としての近親相姦
家庭教育の現代的意義
偽英雄を生み出した「神話」
フィリピン人の母性原理
あとがき
旧版解説(吉田敦彦)
*
日本神話にみる意思決定
巻末対談「神話と日本人」河合隼雄×吉田敦彦
増補新版解説(河合俊雄)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさにい
8
日本の権力構造が中空であるというのは、これまでもいろいろの人が言っている。司馬さんなども本来の天皇の置かれている立場は中空だったと言っている。江戸時代の大名も毛利の殿様を『そうせい公』(重臣の意見に対して、『そうせい』というから)といっている。あんがいこれでうまくいってきた。しかし、その中空状態にすこしでも権力的契機がはいってくると歴史が悲惨な状態に変わってきた。現在も天皇を象徴とし、権力的契機を排除している。さて、しかし、これを権力的契機を持っている者が行うと、責任の所在があいまいになる。2025/04/20
菊田和弘
3
中が空であることの長所と短所が、古事記からヒントを得て描かれています。空があると、対立する者同士が共存できます。対立する力が象徴によって統合される余地も生まれます。一神教ではないことでしょう。一方で、無気力やミートゥーイズムなど、自分がわからないという日本特有の現象も生まれます。私が「I(アイ)」だけでないから彷徨ってしまうというか。だからこそ個々人が今の状態を明確に意識化する努力を積みあげることが大事と河合さんはおっしゃいます。共感です。「やばい」ばかりじゃなくてね。言葉(心)はもっとたくさんあるから。2024/12/04
やっこ
2
日本人の心理・社会構造を「中空」つまり「中心が空(から)」であると捉え、そこに「空」を置くことで、対立や矛盾を抱えながらも、決定的な戦いや統合のための中心的権威を避けて共存を可能にするモデルを提示 『古事記』神話や日本の昔話、民話などを題材に、日本人の意思決定や価値観の根底にある「中空」の役割を掘り下げている メモ 日本に責任を取る人が少ない文化的理由2025/05/08
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