内容説明
東坡肉に宋代の詩人・蘇東坡の名前が冠されているのはなぜ? 中華料理の複雑な味わい、山海珍味の調理法には、歴史を彩る文人、皇帝、民衆たちのエピソードが秘められている。食と酒を愛する著者が、中国・日本の各所で口にしてきた美味佳肴とともに中華料理の奥深さを語るエッセイ。文庫化に際し「酒虫と消麺虫」他を増補。〈解説〉平松洋子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
YO)))
17
南條竹則氏と言えばチェスタトンやブラックウッド、ラブクラフトなど英米文学の翻訳のイメージだったので、蘇東坡の漢詩を引いて東坡肉(トンポウロウ)の話しをしたりするのに面食いつつも面白く読んだ。アメリカ生まれの謎中華料理「チャプスイ」の件りではブラックウッドも出てきてひと安心。犬肉を食べる話しや人肉食(こちらは飽くまで文学的な話で実食するわけではないが)も取り上げられており、そういうのが苦手な人は注意された方が良いかも。2024/08/10
おはぎ
10
中国の文人と食を絡めたエッセイ。もう少し著者の他の著作と中国文学の素養があればもっと理解して読めたかも。個性的な中華料理を色々味わいたくなった。ちょっと衒学的?2024/08/09
qoop
7
これまでも中華料理への飽くなき探究心を披瀝して来た著者の、ある意味で精髄のような一冊。日本にはない果物のように甘い大根の味を思い浮かべる〈蘿蔔漫談〉、〈一字乾坤〉、アメリカで生まれたチャプスイの起源を探る〈チャプスイの話〉、民族性/国民性を人肉食から読み解く〈憎い敵を食べる話〉など、どの章も、文献を探り経験を語り、味を想像し調理法を推理し、過去と現在、中国と日本、風土と文化を短文に詰め込んで軽やかに読ませてくれる。2024/07/04
niz001
2
中国の文人に興味が無いんで流し読み気味。ベニテングダケがうまい、というのはたまに見かける。2025/04/09
tokumei17794691
1
・大根の話が面白かった。甘い大根が果物感覚とは!・親本のあとがきで、著者は食した「李鴻章大雑燴(チャプスイ)」が想像と異なって、「肝臓スープ」だったことを残念がっていた。ただ、著者の想像が分からず、その残念さを感じ取ることができなかった。本文では李鴻章の地元の合肥の「伝統的御馳走」とも記されていたが、チャプスイには肝臓を使うこともあるとあり、あり合わせのごった煮が強調されていた。本物の美食は袁枚同様専属料理人を雇わればならぬか。・あとがきが少々愚痴っぽくて、せっかくの名菜(本文)の良き余韻が消えて残念。2024/06/27
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