内容説明
フリーライターとして暮らす小野寺衛は、宮城県松島から上京後、一度も帰省をしていない。知的障害のある兄をまもってほしいと両親から衛と名付けられたが、東日本大震災を機に故郷を、家族を、兄を捨てたのだ。だが、その兄が急死したという知らせを受け、衛は7年ぶりに故郷に帰ることを決意する。子どもの頃一緒に遊んだ海岸で兄は自死したらしいが、家族や友人の話を聞いた衛はそれを信じることができない。兄の死の謎を追う衛が知る、慟哭の真実とは? 障害者への差別意識や、貧しさへの“怒り”に満ちた筆致で贈る、ミステリデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
48
幼い頃に母親を亡くし、父と知的障害を抱えた兄を震災を期に、東京へ出た「衛」。故郷へも帰らずに、付き合っていた彼女との間に転機が訪れた矢先に、兄が亡くなったと知らせが入る。警察では、事件性がないとして自死と判断されたが、衛としては納得がいかない。死の真相を追い始めたが…世話になった叔母や幼馴染の母娘も悲しみに暮れるが…兄の抱えていた様々な想いに、本当の意味で寄り添えなかった人達。綺麗事だけでは済まない事がリアルに思える。この先、残された者達は何を思って生きて行くのか…そして衛が彼女に対して出した答えは…2025/07/14
よっち
25
東京でフリーライターとして暮らす小野寺衛。同棲する玲奈の妊娠が判明した夏の日、故郷の松島町に残してきた知的障害がある兄の死の知らせを受けるミステリ。七年間帰っていなかった実家に対する複雑な思いを抱いての帰省。なぜ障害者枠で大企業に務めていたはずの兄が自殺したのか、その死の真相にアプローチしてゆく衛。調べる中で明らかにされてゆく父親の悔恨、伯母の依存心、幼馴染の欺瞞、周囲に理解してもらえない兄の苦悩があって、けれど何よりも兄が本当の意味で切望していたものを知ってしまう結末には、胸を締め付けられる思いでした。2024/07/29
まる子
22
『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』でコーダとして生まれた著者。障害者と健常者の気持ち、障害者が世の中から差別的に見られる目を自ら体験しているから書けた物語だった。障害者の兄を持つ弟、親、伯母と周りの人たち。知的障害があって周りに理解されない本人が感じる気持ちをミステリー仕立てに。兄の聡は本当に自殺だったのだろうか?遺書から感じた違和感。真相が明らかになるにつれて「本当の犯人」を考える。エフィラとは海月の幼生。(精神疾患「代理ミュンヒハウゼン症候群」)2024/08/06
おかだ
21
なんかモヤモヤ…。知的障害を持つ兄が自殺した。久々に故郷に戻った弟は、兄の自殺に不審を抱く。後から届いた消印の無い遺書など不自然な状況を探るうち、思いがけない真相に辿り着き…。作者は後書きで「知的障害者の自殺」について、彼等への無理解についての問題提起、と言う。でも私はむしろ「きょうだい児」への無理解をひしひしと感じた。障害者への無自覚な決め付けが問題というのならきょうだい児への押し付けはどうなのか。どこまでの献身を彼等に求めれば気が済むのか。そんなことを…考えてしまった。正しく読めたかどうか分からない。2025/11/26
丸々ころりん
17
知的障害のある兄の突然の自殺 7年振りに故郷に帰った弟 小野寺衛が抱いた違和感 本当に自殺なのか⁇ 障害者が描かれた作品には親が一生懸命•本人が特別な才能があるなどの内容が多い中 家族それぞれの思い,地域で関わる人たちの関係性,特に障害を持たない兄弟の心の変化がよく描かれた作品だと思います。2024/09/11
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