内容説明
16歳のレン(”レン”は鳥の”ミソサザイ”の意味をもつ)は、警察官の父(チーフ)とふたり暮らし。母は2歳のときに家を出たまま、帰ってこない。母の不在が落とした陰は、まるで太陽の光が照らすように、姉のリジーが愛で埋めつくしてくれた。そのリジーも、いまはいない。さよならも告げず、あの夜、どこへ行ってしまったのか。手がかりを探すレンは、ある日、リジーと同じ太陽の光を放つ少年、ルカと出会う。少しずつ、少しずつ、ルカにひかれながらも、レンはこわくなる。誰かを好きになったら、さよならの痛みがまたひとつ増えてしまうからーー。親の愛に飢え、孤独に傷つけられた少女たちが「自分」を取り戻すまでの日々をみずみずしく綴った青春ラブストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shoko.m
3
姉のリジーと父、チーフと暮らす主人公のレン。英語でミソサザイという意味の名前を持つのに、レンは自分の世界にこもりがちだ。小さいころに母は出ていき、そしてリジーもいなくなってしまった。気晴らしといえば、屋根にのぼって辺りを眺めることだったレンが、無理やり入れられた教習所で、リジーと同じお日さまみたいなオーラのルカと出会う。何重ものオブラートに包まれたようなレンの世界がなかなかうまく捉えられずややもどかしかったが、ルカと出会ってレンが変わり始めてだんだんクリアになっていった。それでいいんだよと言ってあげたい。2024/07/26
小説大好き
0
読みどころは沢山あるのですが、全体として掴みどころがなく感じたのは、ノーラン映画のように現在の時間軸に断片的な過去の描写を挟み込むプロットの作りが原因でしょうか。リジーと母という二つの存在の輪郭がはっきりせず、主人公レンの自由へのモチベーションがいまいち頼りなく見えてしまいます。しかも、その断片性をモネ(印象派)をモチーフにすることで肯定している。レンの内面描写には驚くべき洞察力を発揮する一方、チーフを救うべき対象に包含する過程はフェミニズムの典型そのものです。印象には残りますがどうにも評価し辛いです。2025/01/04
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