サンショウウオの四十九日

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サンショウウオの四十九日

  • 著者名:朝比奈秋【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 新潮社(2024/07発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 510pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784103557319

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内容説明

周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。不思議なことはなにもない。けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか? そして今これを考えているのは誰なのか――三島賞受賞作『植物少女』の衝撃再び。最も注目される作家が医師としての経験と驚異の想像力で人生の普遍を描く、世界が初めて出会う物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

581
朝比奈秋は初読。この人は本作以前に三島由紀夫文学賞をはじめ、既にいくつかの文学賞を受賞しており、医師との二足の草鞋ながら、作家としてこれ以上ないくらいに華々しい活躍である。タイトルの意味は作中で明かされるが、相補相克をシンボリックに表す陰陽図(陰陽魚とも)をサンショウウオに見立てたものであり、これはそのまま主人公の杏と瞬の暗喩でもある。小説のテーマは単に「私」というアイデンティティを超え、意識もしくは思惟することの本質に迫ろうとするところが斬新である。また、それを語る話法にも工夫が凝らされており、⇒2024/09/15

青乃108号

471
ここ数年、年が明ける度に立て続けに両親が亡くなり、つい先月は義父が亡くなり、親の火葬を見続けて来た。骨は皆、没個性的で一様にそれは骨だった。俺は自分の火葬を想像する。左足を骨折した時に入れたチタンのボルトを抜かず仕舞いなのだが、それは溶けてしまうのだろうか、出来れば原型を留めていて欲しい、せめてその部分で主張したい。本書を読んで思うのは自分の死ばかりだった。人の死の無情を淡々と語る本書はその部分のみに感じ入った。その他本来主題とされているものは余計だった。主題が語られている時、俺はチタンのボルトを思った。2025/04/15

starbro

451
第171回芥川賞受賞作・候補作、第一弾(1/5)、今回は受賞作です。朝比奈 秋、3作目です。胎児内胎児の親から産まれた結合双生児という特殊設定純文学、設定の割には普通の家族小説でした。個人的には、著者の前2作の方が良かったと思います。 https://www.shinchosha.co.jp/book/355731/2024/07/25

鉄之助

336
芥川賞を含め「純文学新人賞」を数々受賞した朝比奈 秋。やはり只者ではなかった。「胎内児胎児」や「頭部がつながった結合双生児」など、独特な”医師の視点”が面白かった。意識と肉体の関係やサンショウウオが例えるモノも興味深い。医師としてかつて赴任していた青森・鯵ヶ沢で着想を得たという、彼の処女作「塩の道」、が無性に読みたくなった。2025/04/06

道楽モン

327
文句なし納得の芥川賞。作品に込める熱量が圧倒的で、しかも哲学的あるいは存在論的なゴールを目指している(当然ながらたどり着けないけど)姿勢にスゲーなぁと思う。一つの肉体に2つの意識が共存するという設定は、魂や自意識の存在を探し当てるための思考実験だ。数学の背理法に近いかもしれない。壮大なテーマを短編で表現するのは困難極まりない所作であるが、おそらく作者はずっと継続して、命の限りに追求する筈だ。なぜならこのテーマは借りものではなく、内面から溢れ出るものだから。答えのない巨大な敵に挑む作者の姿を見守りたい。2024/07/31

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