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内容説明
世界のからくりや不思議を語らせたら随一、教え子であり本書編者でもある諏訪哲史をして「日本の人文科学が世界に誇るべき“知の無限迷宮”の怪人」と言わしめた種村季弘―本書はその博覧強記のエッセンスをぎゅっと詰め込んだアンソロジーだ。ヨーロッパ各地に伝わる吸血鬼伝説を渉猟した「吸血鬼幻想」、自動人形論の金字塔「少女人形フランシーヌ」、ぺてん師研究の白眉「ケペニックの大尉」、怪物誕生を神話の源泉に探る著者畢生の名作「怪物の作り方」などの代表作はもちろん、著者の素顔が透けて見える自伝的随想・講演・読書論・対談まで網羅。没後20年、インチキと不寛容に満ちた現代に放つ文庫オリジナル。
目次
吸血鬼幻想/神話の中の発明家/怪物の作り方/洋の東西怪談比較/少女人形フランシーヌ/ケペニックの大尉/地球空洞説/落魄の読書人生/器具としての肉体/物体の軌跡/K・ケレーニイと迷宮の構想/泉鏡花作品に見るオシラ様/グロッソラリー・狂人詩・共感覚/文字以前の世界──童話のアイロニー/遍在する怪物 怪物論のトポス【谷川 渥との対談】/底本一覧/編者解説 無限迷宮の歩き方 諏訪哲史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
57
一時期、種村・澁澤の世界に耽溺した事がある。今はもういないであろう百科全書的な知の世界はとても蠱惑的なものであった。というわけで、その種村の世界を凝縮した一冊。冒頭の吸血鬼から始まり、怪物、自動人形、詐欺師、鏡花とどの頁を開いても著者が得意としたテーマが満載であり、往年のファンとしては顔がにやついてしまう。これらを手掛かりに、異端とされる世界に分け入っていたなあ。箱の中から次から次へと品物を出す手品師よろしく、面白そうなテーマが次々と表れる構成なので、これから著者の世界に入る人が羨ましくなる本でした。2024/10/02
Shun
31
本書で初読み。ドイツ文学者による博覧強記の論考集。著者のエッセンスを凝集した本書では西洋のフォークロアを始め各地の吸血鬼伝説を追い、翻って日本怪談の特徴についての興味深い考察等。その思考はどこまでも続くようで夢中になって読みました。そして最も興味深く読んだものが「神話の中の発明家」という項目。ギリシャ神話からは鍛冶の神ヘファイストスや職人ダイダロスを挙げ職人と不具の関係性について考察。今まで考えもしなかったものだがフィクションに登場する職人には共通して肉体的欠損があるという点に着目、目から鱗の論考でした。2024/02/15
ゆう
13
まさに驚異の函。話題だからと適当に買った偶然の出会いが読書の幅を広げてくれた(著者は「落魄の読書人生」で話題の本は買うなと語っている)。「神話の中の発明家」「少女人形フランシーヌ」「K・ケレーニイと迷宮の構想」「文字以前の世界」「偏在する怪物」は特に刺激的だった。神話や古典、哲学の豊かな世界が広がっていた。凄まじい知識に基づいてあちらへ行っては別のところへ、最後はもとの場所に戻ってくるという話し方をしており、ついていくのもやっとだったが、示された新しい扉の先の世界に興味がわいた。まずは古典を読み漁りたい。2024/05/19
Porco
11
博覧強記と銘打たれてる人には良い印象はあまりない。著書を手に取ってみると結局のところ、たしかに博学ではあるが特定分野には強く博覧強記の4文字に負けていると印象を覚えることが多いからだ。しかし種村季弘は間違いなく名前負けしない博覧強記な人だ。本格的な論考もあれば話し言葉で語られる人生訓もある。全部理解して読めたとは言えないが「精密に読むのが嫌ならざっと読めばいい。深く読みたいなら細部のいろんな知識や背景を知ってないといけない。」とのことなので、また知識を深めてから再チャレンジしたい。2024/04/20
ふゆきち
5
半分くらいは読んだことがありましたが、今新刊として出ることが嬉しい。やっぱり『ケペニックの大尉』が抜群に面白くて好きです。2024/03/07
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