内容説明
スパイ小説の巨匠の遺作私自身がずっとル・カレに対して抱いていた「なぜ、あの時代の、あの場所を書かないのだろうか」という疑問に応えてくれた感激の一作だ。――真山仁(小説家)「真山メディア」より英国の危機をめぐり、「部(サービス)」と元スパイ、巻き込まれた書店主の運命とは?ロンドンで敏腕トレーダーだったジュリアンは海辺の町で書店主となった。まもなく亡父の友人だというエドワードが現われ、書店の地下室に強い興味を示す。その頃イギリスの情報機関「部(サービス)」で国内保安の責任者を務めるプロクターが、子連れの若い女性に渡された手紙から自国の危機を知り、調査を開始。やがて、その調査はジュリアンの周囲に迫っていく。スパイ小説の巨匠の遺作。あとがき/ニック・コーンウェル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
48
ル・カレの遺作を息子、ニック・ハーカウェイが完成させた一冊。。。だが、やっぱり一回では理解できないんだよな。もう一回読みます。2024/07/25
k5
47
二周目。解像度が上がってきて、出てくる女性たちの魅力が伝わってきたのですが、まだまだ味わいきれてない感じがする。作風が大人すぎるので、もう一回初期作品を巡ってまた来よう。幸いにして文庫の刊行ラッシュがあるみたいだし。2024/08/06
シキモリ
29
いつか読もうと積読状態の「寒い国から帰ってきたスパイ」をよそに、遺作となった今作からル・カレ作品に手を出した。諜報部の保安責任者と脱サラした書店主の視点を切り替えながら進行する前半は物語の進行方向が読めないものの、<シルバービュー>での対面を皮切りに、物語を取り巻く構図が徐々に明らかとなる。大義の為にその身を捧げた諜報部員の半生は悲哀に満ち溢れ、国家の名のもとに翻弄される現役のメンバー達にもそこはかとない空虚感が漂う。理解し切れない用語や言い回しも多々あれど、熟練の技法に裏打ちされた静かな余韻を味わった。2024/06/25
春風
9
スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの遺作。ル・カレはスパイの人間性を通して、組織に翻弄される一個の人間の弱さを最後の最後まで透徹して描き切った。晩年、本作をずっと手元に置いて手を加え続けたというが、一読して成る程と肯う以外にない内容である。緻密に組み上げられたプロットは静的で重厚。冷戦をテーマにした作品群は、現在では歴史小説的側面を見せる。しかしながら本作では、いまなお続く紛争をモチーフとして採用して、これが過去の物語ではないことを我々に投げかける。ル・カレ畢生の事業の終幕に立ち会えたという思いを強くした。2024/06/29
夏子
5
ジョン・ル・カレの遺作。 話としては地味だがとても濃密。いつもの事ながら事件の全体像がなかなか掴めず、ただ不穏な空気が漂う中どこへ話が向かっているのか不安になりながらもその鬱屈した気分を楽しむのがル・カレ。作者の息子による後書きも良かった。2024/08/30
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