内容説明
玉砕を強いられた「騰越守備隊」の真実。
――遺族に戦場の実態を伝えるのは、生き残った者の義務だ……肉親が戦死した戦場の様子を知りたい気持がなくなってしまうことなどはあり得ないのだ、その気持に応えるために、とにかく精一杯戦場を語り続けなければならないのだ、と一政は自分に言い聞かせた。――
日中戦争末期、旧ビルマに近い雲南の地で、約6万対2800という圧倒的不利な戦いを強いられた騰越守備隊。上官も仲間も次々と斃れるなか、落合一政と白石芳太郎は奇跡的に生き残った。
仲間たちがどのように戦い、どのように死んでいったのかを遺族たちに伝えるため、一政は長い年月をかけて『雲南戦記』を出版し、芳太郎も手記をまとめている。そこへ、収容所で亡くなった戦友の妹の消息がわかったとの報を受け、二人は東京まで訪ねていくが――。
仲間の命を奪い、郷里を焼け野原にしてしまった戦争は、何を残したのか。南方戦線を経験した著者ならではの、魂の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイトKATE
18
毎年8月15日に放送されている『高橋源一郎と読む 「戦争の向こう側」』で、古山高麗雄(ふるやまこまお)が紹介されていたので読んだ。『断作戦』は、中国南西部雲南省とビルマ国境沿いで中国軍との戦いを書いている。本書は、ノンフィクションとフィクションを折衷した文体が読みにくかったが、太平洋戦争中、日中国との戦闘は継続していたのに、内容は知られていないので貴重である。中国との戦争は、末期になると、中国軍はアメリカやイギリスから武器を援助してもらっていたこともあり、日本軍は圧倒され惨敗を喫した。2025/08/06
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