河出文庫<br> 挑発する少女小説

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河出文庫
挑発する少女小説

  • 著者名:斎藤美奈子【著】
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 河出書房新社(2024/06発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784309420943

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内容説明

若草物語、赤毛のアン、あしながおじさん……大人になって読む少女小説は、発見に満ちている。かつて夢中になった人にも、まったく読んだことがない人にも。あの名作はいま、何を教えてくれるのか?

魔法使いと決別すること――バーネット『小公女』
男の子になりたいと思うこと――オルコット『若草物語』
資本主義社会で生きること――シュピーリ『ハイジ』
女の子らしさを肯定すること――モンゴメリ『赤毛のアン』
自分の部屋を持つこと――ウェブスター『あしながおじさん』
健康を取り戻すこと――バーネット『秘密の花園』
制約を乗りこえること――ワイルダー『大草原の小さな家』シリーズ
冒険に踏み出すこと――ケストナー『ふたりのロッテ』
常識を逸脱すること――リンドグレーン『長くつ下のピッピ』

かつて夢中で読んだ人も、まったく読んだことがない人も。
いまあらためて知る、戦う少女たちの物語。
解説:恩田陸

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Shun

36
文芸評論家の斎藤美奈子さんによる評論集。本作では少女小説と呼ばれる海外の9作品を挙げ、「小公女」や「若草物語」等が戦後日本の女子教育にうってつけのツールとなっていた理由とその背景を論ずる。そして単刀直入に言えば、経済成長中の日本で女性に求められていた役割は家庭を守ることであり、少女小説は良妻賢母となる家庭婦人を育てるという目的に適っていた。例えば幼少期はお転婆な娘も大人になると結婚して家庭に入り大人しく、といった場面か。だが著者は述べる、少女たちは不自由の中で戦っていたのだと、読者を挑発しているのだと。2024/06/16

小寅

3
この本に出てくる少女小説を全て読んではいないけれど、こんな風に読めるんだって目から鱗状態。実は子供の頃ではなく、色んな経験をつんだ大人になってから読んだ方が、それぞれの小説を深堀できるのではと思わされた。 帯文の子どもだから 女だからって 見くびらないで!はその通りと思わずにはいられない。2024/09/16

Hiro

2
なるほどそうだったかという驚きと納得の連続。冒頭に示される、主人公はみなしごでお転婆で、作中の恋愛はご法度、などの少女小説の明快な定義もそうだが、一番感心したのは登場人物の歩く歩かない問題の指摘。物語のクライマックス、主人公の苦労と献身の成果として劇的な効果を発揮する「いい話」も、その根底に障害を不健全なものと見る偏見がありはしないかという問いかけには唸らされた。書中にある本を全部読むには年代もジェンダーも相応しくないが、ハイジとかロッテとか今は何かすごく読みたい気持ちになっているのは事実。2025/05/16

げんなり

2
なるほど、そういう読み方をすればそう考えられるのかと強く思った。全てが正しいとか、判断をするためには著者以上にあれこれ勉強する必要があるので、そうそう簡単に言える話ではないけれど、個人的には全ての意見に対して好意的に読めたし、小説と時代とか、読み手と売り手とか、そういうものの朧げな姿も見えて、そういう意味でも面白い一冊だった。 少女小説という括り方、実はこの本にあるようなものはすでに古典だと思ってたので、なるほど、自分もちっちゃい頃に面白く読んでたことを思い出した!2025/01/08

妖湖

1
図書館本。主人公になぜみなしごが多いのかー親がいると子供の自由な行動が妨げられるから、なるほど。男の子になりたかったジョーと女の子らしさを肯定したアン、だからアンはギルバートと結婚したけど、ジョーはローリーと結婚しなかった。『ハイジ』はゲーテに習ったビルドゥングスロマンだった、なんと! 「少女小説」が今なお読み継がれる理由がよく分かる。2024/08/29

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