内容説明
【第18回小説現代長編新人賞受賞作】
「一読して、抜きんでている印象を受けました」(中島京子)
「エンターテインメントのツボをきちんとおさえた力作」(薬丸岳)
「物語が進むにつれて状況が二転三転し、先が気になって仕方がない」(塩田武士)
――選考委員、大絶賛!
日本文学史上、最も「優しくて強い」武器を持つ忍びがおくる、驚愕必至の時代・エンターテインメント!
「この忍者、手裏剣も吹き矢も使わない!?」
伴天連教迫害が進む1625年。
東北では過激な新興宗教・大眼宗の台頭に、隣国との領地争いと、いくつもの火種が燻っていた。
南部藩の若き忍者・景信は、この世でただ一人の“声色使い”。
どんな声も完璧に真似できる唯一無二の喉を使えば、
無数の敵も指一本触れず制圧することができる。
隣国・伊達藩の動向を探る命を受け、諜報活動に挑む景信が目にしたのは
信仰にすがる声なき人々と、闇に身を潜める邪教の黒い陰謀。
背負わされた十字架、お上の掌返し、見ぬふりをされる人々の思い。
いま、この時代にこそ突き刺さる、驚愕の時代エンターテインメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Atsushi Kobayashi
20
もうちょっと、がんばれ_という感じでした。2024/08/06
信兵衛
17
予想と異なる趣のストーリーに困惑する思いでしたが、東北地方ではこうした歴史や戦いもあったのだと思うと、興味深い。 ローカル色の濃い処が、本作の読み処と感じます。2024/07/31
mitubatigril
12
書店で見かけて表紙と題名に惹かれて読んでみたいと思ってたら偶然図書館の新刊コーナーにあり早速借りて見た。 ただ読み始めたら進まない進まない 文体が方言でしかも馴染みのない地方っぽいから頭に入ってこず進んでいかない。 途中から文字を追うだけ意味を考えない方法に切り替える 後半は少しずつ慣れたのかそれなりに読めるし内容も頭に入って行く。 結果イマイチ掴みどころのない気がする。 以外に言葉は大事だと思えた。 2024/09/03
練りようかん
11
主人公は声色の名手。南部藩と伊達藩は因縁の対立があり特技を生かし敵方と接触するところから始まるのだが、方言によって微妙なニュアンスがつかめず状況整理に手間取った。だが潜入した狙いを喋った女が殺されたことで、物語自体の潮目と読み脳の意識が変わる。女はどこまで知っていたのか、合流した同輩を信用してよいものか。新興宗教の背後で操る者たちがわかり、主人公のお役目は明確だけれど登場人物其々の本当のお役目が気になり、人情の板挟み描写は特に同輩豆助に気持ちが入った。帰属意識の歯がゆさがつのり、無情を感じたラストだった。2025/01/07
ハッピー
6
【図書館】ダ・ヴィンチの新刊情報で気になった第18回小説現代長編新人賞受賞作品のデビュー作.南部家に仕える間者の間盗役で声色遣いを生業とする望月景信.中野舘に潜入していた伊達家に仕える女間者で黒脛巾組の紫野の目的を探るため上役の浅沼に指示され,紫野とともに花輪舘に行くことになった.景信は迫害が進む伴天連宗や謎の邪教・大眼宗の「闇」を知り,巨悪に迫っていくことになる.表紙からファンタジーなのかなって思っていたら東北訛りごりごりの時代小説でした.2025/05/29