内容説明
犯罪小説の王ドン・ウィンズロウ、最後の大作。
ギャング・ノワールの金字塔、ここに完結!
権力、暴力、復讐、腐敗、正義、贖罪。
人はなぜ争い、過ちを繰り返すのか――。
「犯罪小説の巨人による最後の作品にふさわしい」
パブリッシャーズ・ウィークリー誌
「私たちは今、ミステリー史に残る叙事詩の終わりを目撃しようとしている。
杉江松恋(書評家)
「『ゴッドファーザー』に並ぶギャング3部作の強烈な最終章」
スティーヴン・キング
東海岸マフィアの血塗れの抗争に巻き込まれ、わずかな仲間たちと西へ逃げ延びダニー・ライアンは、いまやラスヴェガスに王国を築き、カジノホテル業界の陰の大物にのし上がっていた。
だが飽くなき欲望からとった強引な手段が、商売敵のホテル王との関係に禍根を刻み、平穏な生活は終わりを告げる。
FBIとマフィアにつけ狙われ、仲間を惨殺されたダニーは、再び血の抗争に身を投じていくが――。
【解説】杉江松恋
■著者既刊
『ダ・フォース 上・下』
『ザ・ボーダー 上・下』
『壊れた世界の者たちよ』
〈ダニー・ライアン〉3部作
『業火の市』
『陽炎の市』
『終の市』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
342
ウインズロウの引退作。先の二作にはどこか様式美にこだわるあまりの中身の軽さを感じていたのだが、今作ではその浮薄さが払拭され、ここにきてようやく物語の重心が安定したように見えた。暴力の比重は少なく、レジーは結局どうしたのかや、ワインガードの息子の死の真相など、はっきりしないままの伏線もありはした。それでもダニーの人生がこれまでより圧倒的に胸に迫り、読む手を止められなくさせる。作中でもたびたび名のあがる『ゴッドファーザー』の影響を随所に見せ、特にⅢを意識した点が今回は多かったかな?と勝手に深読み。2024/06/25
ヒロ
95
三部作の最後。ラスベガスでさらにスケールの大きくなった他ストーリーとダニーはじめ各登場人物の思惑が交差して、ホントに思いもよらない展開になっていきました。やっぱり面白いし、これで引退なんてしてほしくないっていうのが正直な気持ちです。またこれからも同じように人間のあらゆる面を面白く描いてほしいし、今作のような引き込まれるストーリーを読みたいです。ニューイングランド、ハリウッド、ラスベガスとアメリカって国をこれでもかと堪能できた三部作でした。2024/06/23
のぶ
83
本書で引退を宣言しているウィンズロウだが、本作も良くできていて寂しい限りである。今回、主人公のダニー・アイランドは、堅気になりラスヴェガスのカジノホテルを経営する起業家に転身する。目抜き通りのストリップの覇権をめぐって先住企業家のヴァーン・ワインガードとの競争を繰り広げて行く。「犬の力」に始まった三部作、新三部作は、良くできていて楽しませてもらった。今回も前作からのトーンを引き継いで、ウィンズロウの世界全開だった。ただ個人的には初期の「ストリート・キッズ」のような作品群も捨てがたくて好みだった。2024/07/09
タツ フカガワ
78
最終巻第三部は前作から6年後、ダニーはラスヴェガスのカジノホテル業界で陰の実力者となっていく。彼が実業家として躍進していくあたりの筋立ては、ジェフリー・アーチャーの『ケインとアベル』を思い出したほど面白かった。一方、元ギャングという過去がダニーの行く手を阻む終盤の血なまぐさい抗争も圧巻。“たいていは内側から壊れていく”ビル崩壊を見ながらダニーが最後に思う「内破」がこの大河ドラマを暗示しているのかも、と思いながら読了。面白かった!2024/07/26
harass
51
この巨匠が最後とする作品。ベガスの新しい成功者としてなにも不満のないダニーだったが、彼の野望とライバルとの疑心暗鬼と、昔のマフィア連中のしがらみがどうしようもない、取り返しのつかない事態に突き進む。面白すぎる。賢明なやり取りも、愚劣なやり取りで台無しになっていく虚しさ。これが最後というのが惜しい。まあ、まだ未読の本はあったはず。オススメ。2024/07/07
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