内容説明
ジェンダー・セクシュアリティと法制度の関わりを研究する著者の池田弘乃(山形大学教授)が、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)という言葉を手がかりに、多様な性に関する常識の編み直しを試みる。
本書の第1部では、多様な性を生きる人々の生活を描くことを通じて、当事者の声から私たちの社会を見直すためのヒントを探っていく。第2部では、全ての人が「個人として尊重」される社会を展望していくために、多様な性に関わる言葉について整理し、日本社会の現時点での課題について考察する。補章では、「多様な性」理解増進法についての対談も収録。
いかなる性を生きる人も「個人として尊重」され、安心して暮らしていくために、この社会に必要とされているものは何かを考察する。
目次
はじめに
第一部 わたしたちはここにいる
第一章 相方と仲間:パートナーとコミュニティ
第二章 好きな女性と暮らすこと:ウーマン・リブ、ウーマン・ラブ
第三章 フツーを作る、フツーを超える:トランスジェンダーの生活と意見
第四章 社会の障壁を越える旅:ゆっくり急ぐ
第二部 全ての個人の尊重に向けて
第五章 多様な性を考えるための言葉
第六章 日本社会の課題と展望
補章 対談 全ての人が自分らしく生きられる社会に(谷合正明×池田弘乃)
おわりに
感想・レビュー
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みどりちゃん
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■「性の多様性」理解増進法は一部の性的マイノリティへの温情ではなく全ての人にとって多様な性の理解と寛容な社会の実現を意味する■日本国憲法13条前段「すべて国民は個人として尊重される」 とある■釜野さおり「性的指向と性自認の人口学」をチェック■日本では同性カップルは制度の外側にある。手術の同意や病状の説明、面会、看取り(救急医療、終末期)相続、異国籍カップルのビザ問題、住居について家族として証明保証する仕組みがない■医療アクセスへの困難さ等■まさにマイケルオリバーが提唱した障害の社会モデルの概念が必要。2024/10/21