内容説明
「織田信長×森蘭丸、上杉謙信×直江兼続、武田信玄×高坂昌信… 戦国武将が麗しい小姓を寵愛するのは当然の嗜みで、人々はその関係を心から礼賛した―」とする「常識」は、どこまで事実なのだろうか。本書では、史料をベースに、俗説と実像を区別していく。男心と歴史を動かした武家衆道の盛衰史。
目次
文庫版 はじめに/はじめに 虚実を見極める作業/プロローグ 戦国時代の武家男色、その俗説と実相/同性愛ではなく少年児童への性愛/通説的イメージに対する三点の疑問/武家男色の段階的発展/反証(1) それは戦場から生まれたのではない/戦場には女性もいた/反証(2) それは武士の嗜みだったのではない/武家男色への幻想/なんの神秘性もなかった僧侶の少年愛/殉死はすべて情死だったのか/男色と自傷行為/反証(3) 多くの武将が男色で出世したのではない/山本常朝と「忍ぶ恋」/疑わしい戦国武将の男色史料/第一部 室町幕府と男色文化/第一章 公家・宗教社会の男色──禁断の扉を開いた足利義満/足利義満から義量までの吸収期/武家男色のはじまり/公家社会と同性愛──藤原頼長と『台記』/僧侶の稚児文化と男色/将軍足利義満の異文化交流/足利義満と豊臣秀吉の比較/義満と世阿弥/義満と稚児/小姓制度の誕生/武家男色の浸透のプロセス/宣教師が見た日本の男色/親衛隊+少年兵=小姓/武家社会に入り込む稚児文化/男色経験の僧が武家の当主に? /公家化する武士/【文庫版加筆】藤原頼長の『台記』/エリートとして京都に立つ坂東武者/義賢にかけられた期待/上司・藤原頼長の温もり/荘園で年貢を集められず/「抱かせろ」と迫った上司/義賢の悲しい最期/第二章 足利将軍と男色──稚児から小姓へ/足利義持と赤松持貞/足利義教と嘉吉の変──【吸収期から途上期へ】/足利義政と山名豊重──【九十九髪茄子の由緒から】/喝食から出世した上杉朝昌/猿楽師を武士に取り立てる足利義尚/半将軍・細川政元と男色/細川高国と柳本弾正/讃岐・阿波守護の細川政之と若衆/武家の子を惨殺した僧侶/地方の武家に広まった男色/陶隆房のシンデレラ・ストーリー/理想の大名だった大内義隆/敗北する理想と戦国の勃興/第三章 守護大名と男色──大内義隆・武田信玄/室町的大名の衰退と戦国的大名の勃興/宣教師と日本の男色/[大内義隆]ザビエルに批判された山口の王/ザビエルの証言とフロイスの記述/危うい伝聞と誇張癖のある記録者/[武田信玄]晴信と弥七郎・源助の関係/源助の正体は意外な老人? /源助=山本勘介説/【文庫版加筆】武田晴信誓詞を再考する/甲役人ではなく「申待ち人」/誓詞の登場人物比定/春日源五郎と某源助と某弥七郎の関係/源助と弥七郎の苗字ともに「春日」/誓詞が書かれた背景/行間に読む晴信の優しさ/武田晴信の気遣いを示す史料/第二部 戦国武将と男色の実相/第四章 東国の戦国武将と男色──武田・北条・長尾・今川・朝倉氏ほか/武勇で鳴る東国武将と男色/[武田信玄]御座を直した土屋昌続/年増の寵臣・今井市郎/[武田勝頼]最期まで従った土屋昌恒/[北条氏康]「地黄八幡」の北条綱成/[北条氏直]若侍の暴言/[長尾為景]黒田秀忠の出世の謎/[上杉謙信]屈折した残酷な愛情/異性との恋愛話/越中からの美しき刺客/「容貌佳麗」な河田長親/長親の美童伝説/[足利義輝]剣豪将軍の若衆遊び/[今川氏真]惨殺された寵臣・三浦右衛門/[越前朝倉家]念友同士の討ち死/[関東上杉家]上杉憲政の家臣・掃部新五郎/[由良成繁]珍しい戦国時代の「男色法度」/萬重坊と江戸宗次郎/第五章 奥州の戦国武将と男色──大崎・上杉・蘆名・蒲生・伊達氏ほか/武家男色の事例は豊臣時代以降/[大崎義隆]小姓同士の争いが国を傾ける/大崎騒動前夜/軍記の俗説が通説になる/[上杉景勝]男装の麗人・大島山十郎/容顔美麗で出世する兼続/殉死しなかった寵臣/[前田慶次]切るまじき腹を切った児小姓/[蘆名盛隆]国を傾けた盛隆の男色/佐竹義重と蘆名盛隆/やはり好色で身を滅ぼす盛隆/[会津蒲生家]伊達政宗のハニートラップ/[伊達政宗]片倉重綱への熱烈な接吻/小早川秀秋のお相手/実は寵臣を大切にした政宗/第六章 西国の戦国武将と男色──大内・黒田・宇喜多・毛利・島津氏ほか/中四国・九州地方の武家男色/[大内義隆]『陰徳太平記』と小早川隆景/[黒田長政]家臣に嘲笑われた関係/藤堂高虎と若道の知音を結ぶ/[黒田官兵衛]吉川経言を救った「水魚雲龍の約」/[浦上美作守]寝取った若党を手討ちにする/[毛利隆元]御賞翫=男色とは限らない/[宇喜多直家]智将が仕掛けたハニートラップ/[一条兼定]再会した寵臣が実は? /[立花道雪]侍女が寵童に化けていく/[薩摩島津家]義久に初物を譲る近衛前久/若衆が関節痛の薬/戦場にかける恋/第七章 信長・秀吉・家康と男色──織豊期から江戸期まで/三英傑の事例/[織田信長]森蘭丸という架空の小姓/織田信長と前田利家/『信長公記』に登場する若衆/[柴田勝家]「子共」を寵愛せしめるな/[織田信雄]助けた美童に溺れる/[豊臣秀吉]筋金入りの女好き/異聞に見える秀吉の男色話/石田三成と大谷吉継/男色と無関係に取り立てられる子飼いたち/[徳川家康]御座を直した井伊直政の浮気話/【文庫版加筆】[松平信康]佐橋甚五郎と甘利三郎次郎/【文庫版加筆】[徳川秀忠]将軍が寵臣二人の浮気に激怒する/エピローグ 江戸時代の武家男色、その隆盛と衰退/世の秩序を乱しはじめる男色/毛利家の男色禁止令/上杉・吉川・池田などの諸藩も男色禁止/忌み嫌われる男色/若道・衆道=小児性愛の性暴力/幕府もついに男色を禁ずる/批判を集めた少年児童への性的虐待/幕府の大名を査定する材料/純愛と忠義の知恵「政愛分離」/十八世紀に消え去っていく武家男色/【文庫版加筆】新撰組・近藤勇の「局中しきりに男色流行」/おわりに 独自の性指向/主な参考文献/解説 井上泰至
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