内容説明
本所・松坂町に暮らし、三味線の師匠として活計を立てている岡安久弥。しかしひとたび刀を握れば、鬼神のごとき戦いぶりを見せる一刀流の使い手だ。大名家の庶子として生まれ、市井に身をひそめ孤独に生きてきた久弥だが、ある転機が訪れる。文政の大火の最中、幼子を拾ったのだ。名を持たず、居場所をなくした迷い子との出会いは、久弥の暮らしをすっかり変えていく。思いがけず穏やかで幸せな日々を過ごす久弥だったが、生家に政変が生じ、後嗣争いの渦へと巻き込まれていき――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
むつこ
19
友人からの借り本。自分だったら手に取ることはなかったと思うが読んでみると注目すべき新人作家さんの登場でうれしくなった。元々の題名が「調べ、かき鳴らせ」、で、改題名のコレも「なんだか『?』」。お偉い大名のお手つきの嫡男が主人公。実母が三味線弾きだったこともあり、自身も三味線弾き(師匠)を生業とするが、大火の日、迷子の少年と出会う。その子供の体には火事とは違う傷が多くみられるが次第に惹かれ合う。これでもか!と試練が訪れるが王道のような展開がイイ。ほかの作品で何かしらの大賞をとり注目されたらいい作家さん。2026/05/13
マツユキ
18
ある事情で孤独に生きる三味線の師匠、久弥は、大火の混乱の中、一人さ迷う少年を保護するが…。この粗筋、好きなやつだと思い始めていましたが、想像以上に濃いバトルで、ハラハラドキドキ。三味線に馴染みはないですが、その世界の豊かさが伝わってきて、読み応えがありました。複雑な境遇の中でも思い合い、または見守る人々の熱い涙に感動。ハッピーエンドを願う喜びってあるよねと思わせてくれる読書でした。2024/12/27
ごへいもち
12
読友さんのご紹介本。面白かったけれど好みから言うと後半はちょっと甘いかなぁ。2025/01/17
clef
1
文政の大火の中、幼子を拾った久弥。青馬と名付けて共に暮らすようになる。抱えた孤独と切なさが通じ合い、揺るぎない絆が編まれていく過程と、決して叶うべくもない希いに葛藤する各人の想いに幾度となく涙。素晴らしかったです。
立藤夕貴
1
歴史小説は読まないのですが、気になって手に取ってみました。出自やしがらみに翻弄される久弥と青馬。二人が出会い、関係を育んでいく姿がとても素敵でした。琴について丁寧に描写されていて、調べが聞こえてきそう。静謐な雰囲気の中にあたたかさを感じます。穏やかな時間は束の間で、久弥が懸念していた通り生活は一変。どうにか幸せになってほしいと思いながら、先を読み進めました。皆が自身の生まれや境遇に翻弄され、時には諦観を抱き、諦めきれずに前に進もうと足掻く。そんな姿にじんわりと涙が滲みました。2024/08/06
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