角川文庫<br> オオルリ流星群

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角川文庫
オオルリ流星群

  • 著者名:伊与原新【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • KADOKAWA(2024/06発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041148815

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内容説明

人生の折り返し地点を過ぎ、将来に漠然とした不安を抱える久志は、天文学者になった同級生・慧子の帰郷の知らせを聞く。手作りで天文台を建てるという彼女の計画に、高校3年の夏、ともに巨大タペストリーを作ったメンバーが集まった。ここにいるはずだったあと1人をのぞいて――。仲間が抱えていた切ない秘密を知ったとき、止まっていた青春が再び動き出す。
喪失の痛みとともに明日への一歩を踏み出す、あたたかな再生の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mae.dat

300
高校3年生時、学祭でのオオルリのタペストリー作りの想ひ出と、齢45を迎えて当時の皆んなと励む事になった個人用天文台作りを通じた物語でね。漫然とした毎日を過ごす大人へのエールなのかな。皆んな自他共に認めざるを得ないおじさん、おばさんだからさ、派手さは無い。ただ45歳定年説を唱える修は一味違いますが。幸福感とは脳内物質に依る電気信号に過ぎないとする久志の考えは、良い感じに枯れてるねー。そんな皆んなの今後は殆ど描かれていませんが、この経験と共に、それぞれ閉塞感等々を脱して行くんだろうなぁ。青春。2024/07/17

のり

104
高校時代に文化祭で力を合わせたメンバーが、人生半ばに差し掛かり、一人の帰郷を境に再集結する。目的は天文台を建てるという壮大な挑戦。学生時とは違う積み重ねた事情もある。誤解したままの一件もある。しかし、動き出した事により、少しずつではあるが、何かが変わりつつある。第2の青春期。同級生と会う機会が減りつつあるので羨ましいかぎりだ。2024/10/12

ふう

78
星々や宇宙への憧れで、伊予原氏の作品を見つけると、今度はどんな科学の神秘が生きる道標となってくれるのだろうと思ってしまいます。高校時代の気の合う仲間たちが、40代になり、一人の仲間の「天文台を作る」という思いを実現させるために集ります。いっしょに過ごすうちに、楽しかった思い出がよみがえるのと同時に、かくされていたつらいできごとも知ることになります。自己嫌悪、友人への不信感、今の生活へのジレンマ。それでも何とか天文台が完成したとき、また一つ困難を乗り越えた仲間との絆を確認し、喜びも挫折もすべてを抱えて再び→2024/11/14

tamami

67
理系人間の心の琴線に触れる物語を次々と披露してくれる伊与原さんの文庫本最新作。高校時代、文化祭で空き缶を使った巨大なタペストリーを造り上げた仲間が、四半世紀の時を隔てて故郷に会する。その多くが挫折や迷いを持つ中、仲間の一人が人生の折り返しにと描いた夢に合力することで、それぞれのいまに向き合い、新たな自分を精一杯生きていこうとする。彗星が届ける流れ星の探索という夢に共感し、我が事として人生の一瞬をそれに賭けようとする彼らの情熱が熱い。人生の二折り目に差し掛かった自分にとっても、今描く夢を考える機縁となった。2025/01/04

オーウェン

61
ドラマであった「天体観測」のような、18歳の男女の高校生たちの青春。 そして時は経ち45歳になった今、当時の彗子が観測のための天文台を作ることに。 そこで同級生たちがその手伝いをすることに。 星にとってわずかな時間でも、人間にとって18から45は大きな時間。 上手くいかない人生もあるが、それでも仲間であることは変わらない。 コミュニティFMでしかコミュニケーションが取れなくなった友人に対する配慮と、託した願いにはとても共感できるラストだった。2024/12/26

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