内容説明
出張先から帰れなくなり、幼い娘と毎日画面越しに会話する父親。
3年前に母を亡くし、新しいママと初めて迎えるお盆に戸惑う少年。
母の都合で転校をくり返しながら、ミックスルーツである自分へと向けられる言葉に悩む少女。
いじめを見て見ぬふりしていたことを、偶然出会ったおじさんに言い当てられてしまった中学生――。
ままならない現実を生きる人たちのさみしさを、ちょっとフシギなやさしさで包み込む、11の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
88
重松さんの描く温かい世界を堪能できる作品。こいのぼりが空を飛んで子供たちに贈り物をしてくれるSFあり、コロナ禍で会えなくなった家族の絆を天の川の両岸に例えて娘と会話する姿。天の川の河口には何があるんだろう?私も知りたい。桃太郎の話は目からウロコ。鬼の側から見ると…ではなく、もっと違う視点から桃太郎を描くとこうなるのかぁ~。妙に納得!ウメさんの初恋も良かった。戦争を生き抜いてきたひいおばあちゃんの初恋の相手は男びなだった。家族の優しさが胸を熱くする。全11話に込められた愛のメッセージ。2024/08/07
のり
66
11話からなる短編集。不思議な世界や死生観、ホッコリさせてくれたり中々贅沢な一冊。「送り火のあとで」と表題作の「かぞえきれない星の、その次の星」がお気に入り作だった。2024/11/15
馨
66
短編集。表題作が他の作品とちょっとだけ関連がある。全体的に児童書チックで少し宮沢賢治のようだったけれど、近年の作品なのでコロナ禍やマスク生活、先の大戦の話が出てくるのがとても良かったです。こいのぼりやツバメみたいに年1回しか日本に来ないものから見たコロナ禍って本当にきっとこんな感じで暗いし不安定だったのだろうな。かえる神社の年越しが1番良かったです。2024/09/16
タルシル📖ヨムノスキー
35
重松作品は寂しさと、切なさと、ほろ苦さと、そしてほんのちょっとの、でも心の芯にじんわり沁みる温かさでできている。読みながら「あぁ、自分はやっぱりこの人が紡ぎ出す物語が好きなんだなぁ」としみじみ思う。どの物語も甲乙つけ難いけれど、桃太郎モチーフの〝花一輪〟はいわゆる「黒シゲマツ」的な物語で、単行本で読んだ時はあまりピンと来なかったけれどコレを延々と繰り返さなくてはならない桃太郎の心情を考えると、なんだかやりきれない。表題作の中の物語「なっちゃん日和」に心惹かれます。いつか手に取る機会が訪れますように。2024/07/27
ピース
31
短編集。コロナを題材にした話もあるが以外に印象的だったのが「花一輪」。こんな桃太郎がいたらイヤだ。桃太郎がいいヤツなのか悪いヤツなのか分からない。2025/01/11