内容説明
1938年、革新官僚・岸信介の秘書が急死した。秘書は元陸軍中将・小柳津義稙の孫娘の婚約者で、小柳津邸での晩餐会で毒を盛られた疑いがあった。岸に真相究明を依頼された私立探偵・月寒三四郎は調査に乗り出すが、初対面だった秘書と参加者たちの間に因縁は見つからない。さらに、義稙宛に古い銃弾と『三つの太陽を覚へてゐるか』と書かれた脅迫状が届いていたことが分かり……。次第に月寒は、満洲の闇に足を踏み入れる。昭和史と本格推理が融合した、重厚な歴史ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
25
世界大戦直前の満州を舞台にしたハードボイルド風ミステリ。漢字+カタカナルビで雰囲気を作り出し、巻末の参考文献に見られる情報量が説得力を生み出している。月寒と共に満州の地を巡って回りその光と闇とを一緒に見ていくプライベート・アイものとしての視線によって、読者が歴史を「いまそこにあるもの」として体感するつくりがうまい。正直、犯人は見当がつくし論理も長編を支えられるものではないとは思うが、それまでに見せつけられてきた満州国の虚構性を否定するホワイダニットが鮮烈に響く。2024/07/09
モルワイデ鮒
22
探偵事務所に依頼人が来て探偵が屋敷に赴くというクラシカルな魅力の導入と初対面の相手の素性を探偵がバシバシ当てるあのホームズ○○みたいな名前があるのかないのか例のくだりにも一味あって引き込まれる。大戦前夜の満州の妖しい空気が徐々に満ちていった末に本性を現す犯人も印象が濃くて良い。探偵や警察がやけに高圧的に尋問したり逆にこいつは警察に強めにいくのかとか、ちょっと戸惑った。これってハードボイルドっていうやつじゃないか?違うかな?と思いながら読んでいたが最後に解説を読んで一安心。2024/06/20
きょん
16
第二次世界大戦前の満州が舞台の探偵小説。いきなり岸信介が登場して、「ああ現代と地続きなんだな」と感じられた。話の筋立てとしては、退役将軍一家にまつわる連続殺人事件に挑む一匹狼の探偵という王道なんだけど、関東軍が絡んできたり独特な雰囲気が楽しい。探偵の過去は語られていないので、続編あるなら読んでみたい。2025/02/08
L_apis
4
面白かった〜!ただ難点は地名と名前が覚えづらかった……。1938年頃の満州が舞台。情景描写のおかげで映画を観てるように光景が思い描けた。「外」側の光景と、事件が起きる「中」の情景があまりにも印象が違って、そこも読んでいて面白かった。読んでいて途中で犯人の検討がつくんだけれど、犯人がわかったからいい、とかじゃなくて、最後まで読まないと完結しない感じ。読み終わった時に、頭の中でエンドロールが流れた気がした。2024/11/15
Kom
3
再読したが、この時代、この土地ならではのハウダニットでやはり良かった。『路地裏の〜』の浪越大尉が良い味を出している。2025/07/27
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