内容説明
1999年に日本でピルが承認される約30年前に、ピル解禁と中絶の自由を訴える一人の女がいた。派手なパフォーマンスで一躍脚光を浴びるも、その激しいやり口から「はしたない」「ただのお騒がせ女」などと奇異の目で見られ、やがて世間から忘れ去られてしまう――。謎多き女をめぐる証言から、世の“理不尽”を抉りだす圧巻の傑作長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
432
わかる人にはモデルは自明である。もちろん、桐野夏生はそのことを重々承知の上で、それでもあえてフィクションの体裁をとっている。かつて1970年代に活動した「中ピ連」(本書では「ピ解同」)の代表であった榎美沙子(塙玲衣子)を16人の証言から描き出そうとする試みである。桐野の狙いが何であったのかはわからないが、少なくてもあの時期に榎(塙)がなそうとしたことの意味を今、この時点で問い直そうとするものではあっただろう。榎は毀誉褒貶が激しいが(そのほとんどは貶し、戯画化して貶めるものであった)堕天使となった彼女を⇒2025/04/08
青乃108号
317
巻末でフィクションとは謳っているが、明らかに「中ピ連」の代表、榎美沙子について書かれている本。幾ら歳を食っている俺も、さすがに「中ピ連」の活動していた1970年代前半と言えばほんの子供だったのでリアルタイムでその活動を見聞きした事はなく、その名を聞いた事がある、程度で本書を読んでその代表、榎美沙子の生きざまに衝撃を受けた。正式名称「中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合」。時代を変えた1人の女の、独りの物語。ルポルタージュ形式で短く刻まれているので読みやすく、気軽な気持ちで読んでみても損はない。2025/07/10
starbro
311
桐野 夏生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 (ピンク)オパールの炎の如く、女性解放運動を指導した女性活動家の生涯、読み応えはありましたが、中編ではなく、長編で読みたかった。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2024/06/005788.html2024/07/09
fwhd8325
199
活動の詳細はあまり知りませんでしたが、榎美沙子さんの名前は記憶にあります。70年代では、あまりに早すぎたのかもしれません。50年の時を経て、何故と思う面もありますが、時代が見事にシンクロしているように思います。突然消えた、ミステリアスな一面もドラマチックですが、モデルとなった榎さんの存在が知れない現実を考えるとここまで創作したことはすごいことなんだと思います。2024/08/22
うっちー
181
そんな活動があったなあ。婦人公論らしい作品2024/08/05
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