内容説明
本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。このままでは城が落ちる。兵や民草の心に巣食う疑念を晴らすため、村重は土牢に捕らえた知将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めるが――。
事件の裏には何が潜むのか。乱世を生きる果てに救いはあるか。城という巨大な密室で起きた四つの事件に対峙する、村重と官兵衛、二人の探偵の壮絶な推理戦が歴史を動かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mapion
412
荒木村重は信長を裏切り有岡城に籠城する。城内では次々に事件が起きる。村重が裁かなければならないが犯人も動機も手口も不明。土牢に幽閉していた黒田官兵衛との会話を手掛かりに謎を解き裁きを下す。事件以外にも読者に示される謎は多い。村重が謀反を起こした理由、官兵衛を殺さなかったのはなぜ、村重が城を捨てたのはどうして等々。村重の心を細かに描きながら、配下の武将らの動揺と籠城戦への思いも語り、最後には全ての謎に解釈を与える。時代小説としても違和感がなく十分楽しめました。2026/05/04
mae.dat
318
米澤穂信さんも読んでみたい作家さんの一人でした。日本史は苦手な分野ですが、黒田官兵衛には幾許かの興味を抱いており、絶好の計らいと思ったのです。畿内は有岡城のヒタヒタとした閉塞感がずっと続きます。武家の義や理などは知らねども、最終盤の第4章以降は、何やら熱いものが激ってきましたよ。官兵衛の史実や戦国時代の事は、個人的に少しづつ勉強して行こう。そうすると家族の会話の間口も広がるしね。実際昨日坊主に、官兵衛の事を少し教えて貰ったよ。おっと、清洲会議に呼ばれたので、ちょっと行ってきまする(ギリギリの歴史知識)。2024/09/06
星野流人
154
信長に反旗を翻し有岡城に籠城した、荒木村重という武将が主人公。めちゃくちゃ時代小説じゃねえか〜!と普段時代小説を読まない身なので身構えるものの、読み進めていけばいくほどに米澤穂信さんらしいミステリでした。有岡城を揺るがす怪事件が起こる度に、囚われの身の黒田官兵衛に知恵を借りに行く構図がとてもわくわくします。そしてまた単なるミステリにも収まりきらず、終盤には大仕掛けもあり、圧巻の完成度。武将として下々の者の命を捨て去ることのできる村重が、茶道具ひとつを惜しむ場面が印象深かったです。2024/07/14
カピバラKS
133
●知勇兼備の名将荒木村重が織田信長に叛逆し、有岡城で籠城。籠城中に様々な事件が起きるものの、牢に囚われた名軍師黒田官兵衛が安楽椅子探偵風に謎解きをしていく。歴史&ミステリの直木賞作品で、悪くはない。●しかし、米澤穂信の青春ミステリファンとしては、米澤が落選続きの直木賞受賞を狙って、受賞に「有利な」歴史物を、あえて執筆したような気がした。本作は軽妙洒脱な「いつもの」米澤成分が足りないのだ。果たして、受賞第一作は青春ミステリ。ライト文芸ファンの想いが垣間見れる。2025/10/29
タツ フカガワ
119
織田信長へ反旗を翻して城に立て籠もった荒木村重のもとへ羽柴秀吉の家臣黒田官兵衛が、わびを入れて戻るよう説得に来る。が、官兵衛は捕らえられ地下牢に幽閉される。その後城内で起きる不可解な出来事(雪の降る日に起きた密室殺人、村重の密使の僧と御前衆の殺人などなど)を通して描く歴史小説を題材にしたミステリー。ときに地下牢の官兵衛が安楽椅子探偵だったり、ときにハンニバル・レクター(©トマス・ハリス)のような人心を操る策士でもあるという役どころが面白い。ただ語り口の仰々しいところに読了まで幾分時間がかかりました。2025/08/20




