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内容説明
フランスは、ワインや洗練された料理で知られる美食の国、高級ブランドに代表されるファッションの国、52の世界遺産をもつ歴史の国として知られ、世界屈指の観光大国でもある。特に首都のパリはヴェルサイユ宮殿やエッフェル塔などで人気だが、フランスの魅力は豊かな個性をもつそれぞれの街にある。本書では、人、芸術、歴史、世界遺産の観点から厳選した26の街を訪ね歩き、フランスの重層性と多面性をこれまでにない視点で綴る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yyrn
32
フランス各地の26の都市を取り上げて、その歴史といまの姿ばかりでなく、著者のかかわりや思い出話を気持ち良さそうに書き綴っている本。知識欲と旅情が刺激される。アンポワーズ、オルレアン、アルル、ジヴェルニー、ルーアン、ラスコー、ランス、リヨン、ナント、マルセイユ、トゥールーズ、ダンケルク、アヴィニョン、ボルドー、ストラスブールなど私でさえ知っている地名が半分以上登場する。欧州に関心がある日本人なら地名くらいはみな知っていると思うが、でもフランス人で仙台や伊達政宗を知っている人って何人いるんだろうかw。2024/08/03
ジュンジュン
12
「ピカシェットの家」。ピカシェットとは会食などに表れて食べ物をもらっていく人の意。たった一人で陶器やガラスの破片を拾い集めて(その数400万個!)家全部をモザイク画で飾る。56才からは礼拝堂まで造ってしまう。当初は嘲笑の的だったが、今ではシャルトルの観光名所に。まさに「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」だ。追記:ノートルダムって、あの(パリの)ノートルダム寺院だけじゃなかった。フランス中にあるなんて(驚)…って僕だけ?2024/11/07
ろべると
9
著者は美術史家であり、ルネサンス美術などの著作があるが、本書ではフランス全土の都市を取り上げて、その街にまつわる歴史的な背景などを紹介する。ラスコーの洞窟壁画の発見からナントの現代アート、さらにはダンケルクの第二次大戦での「史上最大の救出作戦」など幅広い。幅が広いのでフランスの多様性を感じる一方、やや発散しているようにも感じる。カラー写真が豊富なのはよいのだが、本文では取り上げられていないため、余計にそうした印象を受けるのかも知れない。多種多様な街の「物語」を、より魅力的に伝える工夫がもう少し欲しかった。2025/03/22
昼香
6
フランスの地方の魅力的な街たちを主に歴史を絡めてさらっと紹介している一冊。フランスの歴史に疎くても、置いていけぼりにはならない。フランスは周辺諸国に揉まれ、イギリス、ドイツ、スペイン、地中海など陸路でも海路でも時に味方に時に敵になりながら壮大な歴史を歩んできたことがよくわかる。中世の存在感の大きさを感じ、日本の街の歴史の浅さ(廃城令?地震国?だからか)を思ったが、外から見ると日本も豊かな歴史に翻弄され街が出来ているのだろうか。行ってみたいフランスの都市が増えた。2025/07/17
みなもと
5
パリ以外全然知らなかったが、読んでみると実に多種多様で面白い。どの街も優れた文化と豊かな魅力に満ちており、いつかは現地を訪ねてみたい…。本文中の修道院や教会には、キリスト教への思いの強さが感じられる。焼失しても繰り返し再建したり、寄進や寄付によって形成されていく様子は人々の生活に如何に密接に絡んでいたかがよく分かる。フランスと言えば優雅でお洒落な印象で語られがちだが、実は困難から立ち上がる逞しさと(宗教的)情熱がこの国を形成しているのかも。2024/12/07