内容説明
江戸時代後期から明治初、仏教僧円通によって体系化された仏教天文学「梵暦」。西洋天文学の手法を用いて「須弥界」という円盤状の世界像の実在と実用性を実証しようとした円通と門弟たちの活動に新たな光をあてる意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
114
普門円通、幕末~明治、西洋天文学に通じながらも敢て仏教の世界観、須弥山を中心に世界は平面である、と主張した人。彼を開祖とし、梵暦という仏教天文学、一種の原理主義みたいな。 やや難。博士論文加筆修正2024/10/21
Go Extreme
1
普門円通 円通と梵暦 梵暦研究の可能性と方法 震撼する世界: 地動説の導入 神秘なき世界 世界の中心としての日本 幻想の実体化主義のディスクール; 普門円通と『仏国暦象編』 暦原 天体 地形 暦法 眼智 近代仏教のディスクール 創られた伝統としての「須弥界」: 近代的世界記述 文雄と円通 須弥山儀の構成 忘れられた「仏教天文学」: 梵暦社と梵暦運動 同四時派と異四時派 新理論の展開 須弥山の行方: 近代仏教と須弥山説 井上円了の妖怪学 原始仏教主義 精神主義 近代日本思想史と梵暦運動: 梵暦運動と近代2024/07/10
dokuni_san
0
仏教天文学というから密教的なものかと思っていたが、まったく違っており、非常にアカデミックな部分のあるものであった。当時の最新の知見を仏教世界とすり合わせて?構築していったのだろう。展象/縮象という発想もなかなかワイルドな考えだよね。現代の視座から見ればそうなるけど、当時としては一つの真理に近かったのだろう。2025/08/05