武器としての土着思考―僕たちが「資本の原理」から逃れて「移住との格闘」に希望を見出した理由

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武器としての土着思考―僕たちが「資本の原理」から逃れて「移住との格闘」に希望を見出した理由

  • 著者名:青木真兵【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 東洋経済新報社(2024/06発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784492224205

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内容説明

青木君の文章と思考はつねに揺らぎ、葛藤している。決して単一原理に執着すまいというつよい決意が彼の文体に『過剰なまでの節度』(そんなものがあるのだ)を与えている。――内田 樹

奈良県東吉野村への移住実践者で、人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」主催者による「土着」論。「都市の原理」と「村の原理」に折り合いを付けながら、いかに世間へ「ルチャ」(格闘)を仕掛けるか。若き在野研究者が綴る、生きる勇気が湧いてくる「逆」自己啓発書。

相手と関係をつくり、その関係の中でいかに生きていくか。この「相手」には、自分の中の「うまくコントロールできない自分」も含まれています。この相手とともにどう生きていくか。それこそ、僕が考える「闘い」(スペイン語でルチャ)です。だから本書で述べている武器とは、相手の技を受け、さらに強い技で返すことで生命力を高め合うような、「相手がワルツを踊ればワルツを、ジルバを踊ればジルバを」というかの名言にもあるような、「相手があってこその生」を築いていくための思考法のことなのです。本書では、相手との競争に勝つための武器を個別具体的に提示するのではなく、さまざまな事例を取り上げながら、「僕たちの闘い方」を一緒に考えていくことを目的としています。――「はじめに」より

ある程度長く生きていれば分かるように、競争した相手が味方になったり、時には味方が敵になったりすることがあります。もしくは大切なプレゼンや試験や試合の前の日に限って眠れなかったり、うまく話しかけたいのにその場に行くと言葉が出てこなかったり、「自分のことが嫌い」という人は「自分こそが一番の敵」だと思っているかもしれませんね。むしろ、相手がいるからこそ僕たちは闘うことができる。相手がいるからこそ僕たちは生きていくことができる。この考え方こそ、巷で「茶番」の比喩として使われるのとは全く異なる、本当の意味での「プロレス的思考」です。馬場がいたから猪木があった。長州と藤波、小林と佐山、山田と佐野、棚橋と中邑も同様でしょう。決して二人ではなく、武藤、橋本、蝶野などといった三人の場合もあるかもしれない。分かる人にしか分からない例えですみません。――「はじめに」より

目次

第1章 僕たちはどう生きづらいのか
1.僕たちが「資本の原理」から逃げ出すべき理由:奈良県東吉野村で生まれた「土着の知」の行き先
2.「生きづらさ」感じる社会をつくる一つの価値観:自分の価値を見失わず、生き抜くための思考法
3.「コスパ」と「スマート」の行き着く先にある「疎外」:「他人から必要とされているのか否か」をやめる
第2章 僕たちが図書館をする理由
4.僕たちが「利益を生まない図書館」を続ける理由:「他者の欲望」模倣より「ちょうどよい」身体実感
5.「風呂なし賃貸物件」は「失われた30年の帰結」だった:社会的貧困を踏まえて「借り」を生活に取り戻す
6.地域社会の「しがらみ」と折り合いをつける思考法:「土着」と「離床」のちょうどいいリアリティ
第3章 東吉野村で「二つの原理」を考える
7.「村の原理」と「都市の原理」に折り合いをつける:実は大事な「昔から続いてきた」「めんどくさい」
8.「もちつもたれつ」で生きのびてきた「神仏習合」:「二つの原理」で此岸と彼岸を行ったり来たり
9.「人間一人では生きていけない」を正面から考える:「個人の原理」と「共同体の原理」の決定的違い
10.『もののけ姫』が描いた「結果より過程」の哲学:目的なく「顔を出す」行為に支えられている社会
第4章 渡世人として生きていく
11.「若者の邪魔」をしてはいけない人口減少社会:年長者は「仕方ねぇなぁ」と待ち続けるしかない
12.寅さんが「何度でも失敗が許される」本当の理由:渡る世間には「ケアと就労」2つの原理が必要だ
13.「ワーク・ライフ・バランス」は「無理ゲー」です:「いい子」を生む経済成長前提の社会構造の限界
第5章 土着人類学を通してこれからを考える
14.「リスキリングせよ、さもなくば自己責任」の未来:「ガンダム」が描いた「デジタル社会」への適応
15.「心は売っても魂は売らない」ファンキーな土着:「逃れられない病」を土臭く泥臭く生きていく
16.「数値化」では世界の本質を理解できない:土着人類学で考える社会との折り合いの付け方
17.「ホラーの帝王」が描いた「選択と集中」が招く悲劇:「話半分に聞く」姿勢で新自由主義を生き抜く
18.「国富でなく民富こそ国力」と喝破した孟子の真意:「実質賃金マイナス」時代に必要な王道政治と士

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

43
ルチャ・リブロのキュレーターとして活躍されている青木さんの思考をまとめた本になっている。青木さんの思考とは、土着思考である。土着思考とは、新自由主義的要素が多い『都市』と地縁などの要素が多い『田舎』の2つの見方を行き来して世の中を生き抜く思考のことを指す。昨今では色んなものに価値としての見方しか存在せず、労働者は自分の価値に苦しみ精神疾患になる方も出てきている。だからこそこの見方(都市)から一旦離れて田舎的な見方を足していく。どっちがいいではなく、バランス。自分なりの適温を見つけていきたい!2024/09/22

けんとまん1007

40
土着という言葉の意味。著者が述べているのとは、少し違った意味で考えていた。今の時代を生きる一人として、社会の制度やあり方、今の向かっている方向と、自分や自分の周囲の日々の暮らしを考えると、悩ましいことも多い。それでも、人はいくつもの顔を持つ存在であるので、その場その場で考えながら、過ごしていきたいと思う。そのためには、世の中に溢れる言葉の意味を、一つずつ自分なりに考えることを継続することだと思う。2025/01/14

かんがく

11
同著者の『手づくりのアジール』に感銘を受けたのでこちらも手に取ったが、内容的には『手づくり〜』とだいぶ似通っていた(引用も多い)ので、わざわざ読む必要は無かったかも。2024/08/26

Riel

9
手づくりの〜等を読んでいたから目新しいことはほぼないけど良かった。私の興味関心や原体験は環境関係なので道筋は違うけど、経済成長に貢献できないと不適合と思わされてしまう世の中はおかしいし持続不可能だというところは全て繋がっているし、資本主義により地縁や血縁から自由になれたいい面もあるが行き過ぎて生きている実感や繋がりが薄まったことで無駄な消費にも繋がっているので土着(青木さんの定義と私の思うのは少し違うかもしれないけど)は大切だなあと思う。何より本が好きなので図書館、本に繋げているところが単純に好きです。2024/09/16

Koji Harasawa

6
原理は一つだけではなく、都市と村ではそもそもの原理が異なる。との解明は非常に強く膝を打つもので、全くそのとおりだと思う。何を大事にするか、そのよって立つところが異なるのだから、同じように生活も時間もまわりはしない。どっちが良いというものでもないし、いずれかの原理だけで世界は形成されていない。それを意識するだけでも、無駄な対立や疲れる論争もいらなくなる。息をしやすい場所を作っていくうえで、欠かせない視点だと思う。2025/02/03

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