文春e-book<br> 谷から来た女

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文春e-book
谷から来た女

  • 著者名:桜木紫乃【著】
  • 価格 ¥1,800(本体¥1,637)
  • 文藝春秋(2024/06発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163918556

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内容説明

「わたしの背中、こわいですか」気高く生きる女との邂逅を描いた大人の物語

アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワ。
彼女といると、人は自分の「無意識」に気づいてしまう。
自分の気持ちに、傷ついてしまう――。
そして、彼女は去ってゆく。忘れられない言葉を残して。

桜木紫乃の真骨頂、
静かに刺してくる大人の物語。

(収録作)
「谷から来た女」…2021年。大学教授の滝沢は、テレビ局の番組審議会でミワと出会う。大人の恋愛を楽しむ二人だったが…。
「ひとり、そしてひとり」…2004年。アクセサリーショップとセクシーパブで働く千紗は、夜のすすきのでデザイン学校の同期・ミワと再会する。
「誘う花」…1999年。教育通信の記者・譲司は、取材で出会ったミワの弟・トクシがいじめられていることに気づく。
「無事に、行きなさい」…2015年。レストランシェフの倫彦は、ミワとの将来を信じながらも、どこか遠さを感じている。
「谷へゆく女」…1982年。母を亡くした中川時江は、高校卒業と同時に、文通相手の赤城礼良を頼って北海道へ向かう。
「谷で生まれた女」…2023年。北海道テレビプロデューサーの久志木は、ミワのドキュメンタリーを撮影するが…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

266
8月の第一作は、桜木 紫乃の最新作、桜木 紫乃は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワを巡る連作短編集でした。もっと濃密なドラマを期待していたのですが、短編のせいか意外とあっさりしていました。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639185562024/08/01

いつでも母さん

172
桜木姐さんに刺された読後感。アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワと言う一人の人間が浮かび上がる6話の連作。ミワの存在感が凄くてこれはフィクションだよね?と何度も思わされた。自分の出自に誇りを持てるか?その場所の風や匂いや空気を意識するってなかなか無いが、そこは桜木紫乃だもの読み初めからその世界に取り込まれる。ミワの作品「アイヌの娘」ぞくぞくするのは私の持つ疚しさか。何処かにいるミワに浅いと見透かされそうだ。2024/06/25

R

169
アイヌにルーツを持つ女性を中心として、差別というものとそこに抗う姿を描いた物語だった。物語内でも否定されている、外野が被差別者を騙る内容にはめられない、本人の強い意志と生き方を描いていて、物語の通りであるなら、この感想もまた差別が根底にある言であるというところなんだが、アイヌとかルーツは考えずにどうであるか、そういう個人の強さもあるし、その根底に生い立ちがあるとしても、十把一絡げでアイヌだからで片付かないということを強く感じさせる、とてもいい小説だった。2024/10/14

nonpono

162
らしい短編。アイヌのデザイナーの女の子が主人公。その凜とした強さ、強さゆえの悲しさが目立つ。「ゴールデンカムイ 」という漫画に出会いアイヌについて知識が増えたが、小学校のときに初めて北海道を旅したときに見たアイヌの紋様と木彫りのキーホルダーの未知さを忘れられまい。異文化の風をふいに浴びた気がした。短編集だが「ひとり、そしてひとり」がたまらない。人がどん底に落ちとき、ただ無責任に持ち上げた人はいとも簡単に去っていく。最近もある人が逮捕されたときに見ていた。そういうときにも普通に待っている人の尊さよ。泣いた。2024/08/17

のぶ

162
桜木さんらしいユニークな人物をモデルにした短編集だった。アイヌ文様デザイナー、アイヌである一人の女、赤城ミワの生きる姿を描き出す連作集。本作において、赤城ミワは実質的な主人公であっても、語り手とはなっていない。各章で語り手となるのは、その時々で赤城ミワと関わりをもった様々な人物の視点から、赤城ミワという人物を描き出すと同時に、ミワと比較して自分は・・という感慨を浮き彫りにしている。その辺りが本作の妙味であり、読み処だと思う。ちょっと近づき難い女性という印象ながら、不思議な魅力を持った人物が描かれていた。2024/07/20

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