内容説明
ろくでもない人間がいる。
お前である。
SNSで「書き出しがすごい!」とバズった(46万いいね)本!
これが、舞城王太郎の小説だ。言葉だ。
ろくでもない人間がいる。お前である。
くだらないことに執着して他人に迷惑をかける人間がいる。これもお前である。
何を触っても誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす人間がいる。まさしくお前である。(「代替」冒頭より)
<収録作>奏雨/狙撃/落下/雷撃/代替/春嵐/縁起(全七篇)
「ろくでもない人間がいる。お前である」
「積乱雲と呼ばれる女の子がいて」
「私のうちの犬はストーム。本当はヒョードル・ミハイロビッチって名前」
――直截的で幻惑的かつ挑戦的な書き出しで始まるそれぞれの小説世界が描き出すのは、現実と異界に彷徨う命と魂の真実の物語。
作家・舞城王太郎の真骨頂が宿る七短篇。
目次
奏雨
狙撃
落下
雷撃
代替
春嵐
縁起
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なつくさ
27
短編集。-ろくでもない人間がいる。お前である。-からはじまる『代替』。石の世話から逃れられない『雷撃』、生まれる前の世界と俺の闘いを描く『縁起』が特に良かった。舞城さんは、これで、2作目だけれど、圧倒的スピード感と独特な世界観が良かった。2024/08/18
おすし
23
その沼のうわずみは静かに凪いできれいに澄んでいるが、水底は暗黒で毒が凝りおぞましい何かが潜み口を開けている…例えるなら。初舞城さんだけどこれが作風?すごく好き系のダークファンタジーだ!!そしてこの読後感ピシッとする。うまく言えないけどなんか生きる支えになるなぁ。特に好きなのは、ボーイミーツ石&ガール『雷撃』、抗えない運命を受け入れる俺とお前“人はそいつなりに生きるしかない”この世界観ナニよ…『代替』、胎内記憶をモチーフにこんな広げ方、圧倒される~『縁起』2025/07/21
eyemu
9
面白かった。 パートナーさんの好きな作家さん。 たまに借りて読むんだけど、同じ人が書いたの? みたいな感じの多岐に渡る短編。 スキ。 ホラーやSFベースで、絶妙なグロ加減。 そして、ちょっと甘酸っぱい青い春よ。 なんだろ。 大人になる前の少年の危うさみたいのが、直接的に描写はされてないんだけど、そこかしこに匂わせている感じ好き。 ホラー、SF、グロだと思って読んでるんだけど、その中に感じる青春と恋愛。 とりあえず、パートナーさんの家にあるやつ全部借りる。2024/09/16
glaciers courtesy
8
王道の舞城王太郎が楽しめる。もちろん「ディスコ探偵水曜日」のような実験的な長篇だってそれはそれなんだけど、エンタメとしては短編集は手堅く楽しめるのだ。今回は甘酸っぱい青春の物語は「雷撃」くらいで、舞城王太郎の得意な頭の良いカップルたちが人生や恋愛の本質を見抜いて、カッコいい言葉で提示するというようなシーンは出てこない。それでもちゃんと自立してはいるけど周囲との関係もキチンと整理出来ている人間の姿の描写はとても気持ちが良い。たぶん舞城王太郎はそれが描きたくて小説を何本も書いているのだと勝手に僕は思っている。2025/06/02
東雲
5
『ろくでもない人間がいる。お前である。くだらないことに執着して他人に迷惑をかける人間がいる。これもお前である。何を触っても誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす人間がいる。まさしくお前である』この書き出しが読みたくて買った。『ストーリーが簡単に説明できるような小説はつまらない小説かもしれません』と小川洋子も言っている。面白いか面白くないかで言うと面白い小説に違いないのだ。理解できるかはさておき。理解の及ばない小説の良いところは「小説とはかくも自由な生き物なのだ!」と思えることである。恐るべし、舞城ワールド。2025/07/09