内容説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
「来てくれてありがとう。握手してもらえるかな?」N君はパンの詰まった紙袋を左手に持ち替え、そっと右手を出した。「ごめん、ごめんね」お母さんは、声を小さく震わせ、N君の掌を両手で包んだ。とても華奢な手だった。その手を涙が濡らした。N君は、どうしていいかわからなかった。1981年、大学のキャンパスで出会った三人。永遠だった筈の友情は、雪乃の唐突な失踪により崩れてしまう。それから三十余年が経ち、彼女から届いた一通の手紙。そこに書かれていたこととは……。封印されていたあの頃が蘇り、托された想いを道標に、初老を迎えた「若者たち」が再会へと動き出す。切ないほどに純粋な約束が三人の心を繋ぎ、其々の人生を温かく包む感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりちゃん
7
2度目の読了。1回目よりもより丁寧に端から端まで読み尽くす。これだけの言葉が散りばめられているのに、読了後に1番心に響いたフレーズは1回目と同じだった(笑) それだけ私の心にピンポイントに届いたのかもしれない。 たくさんたくさん伏線があって後半はそれを回収していく。1回目で気づかなかったポイントもあってなかなか面白い。映画化されないかなーって密かに願ってる。図書館にいる人ぐらいのエキストラで出演したい。2023/05/22
KJ
2
大学の先輩の処女作。こんなにも純粋に愛情にもとれる深い友情で結ばれた三人。同じ世代を生きた後輩として、各々に感情移入してしまった。読後ハートウォーミングな一冊。2023/03/02