集英社文庫<br> 百合中毒

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集英社文庫
百合中毒

  • 著者名:井上荒野【著】
  • 価格 ¥572(本体¥520)
  • 集英社(2024/06発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087446357

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内容説明

イタリア人の若い女と恋仲になり、家族を捨てて出ていった父親が、妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ25年ぶりに戻ってきた。イタリア人の彼女は一人で帰国してしまったという。が、娘たちは大人になり、妻にはすでに恋人がいた。次女の遥は「許さないから。絶対に。出てってよ。早く出てって!」と叫び、長女の真希は「大恋愛して出ていったのなら、二度と戻ってこないのが筋ではないのか」と苛立つ。妻・歌子の恋人は夜ごと彼女からの電話を待つ。そして歌子は思い出す。夫との出会いの場所に咲き乱れていた花のことを…。家族とは。夫婦とは。七人の男女の目線から愛を問い直す意欲作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えみ

43
毒性を持つ“その人”が徐々に身の内に取り込まれていって、機能障害を起し正常な判断ができなくなっていた。集団中毒…そう理解するのが賢明だろう。毒に中って崩れる関係、そして依存、依存、依存。恐ろしく納得できないパーソナルスペースを持つ、7人の男女の物事の捉え方に禁断症状の気配を見る。イタリア人女性と恋仲になり家族を捨てた男が25年後、突如家族の元へ帰ってきた。新たな家族のカタチを形成していた元家族の中に異物が投じられ、徐々に波紋が広がっていく。夫であり、父であり、厚顔無恥な男の気配に中る。皆それぞれ混濁中。2025/04/18

くろにゃんこ

22
家族を捨て他の女に走った男が25年経って戻ってくる。戻ってくるのもすごいけど、受け入れるのが本当にすごい。理屈じゃないんだろうな、中毒だから(-_-;)2024/08/26

ナオ

7
一気に読んだ。25年前に家族を捨てた男が突然帰って来る所から始まる物語。園芸店を営む男の妻には恋人がいて、二人いる娘の長女は夫に不信感を持ち、次女は不倫中。 男以外の視点から物語は語られて行きます。私は妻の恋人の蓬田が不憫で、一番感情移入してました。問い詰める事もしないでさー、恋人と同じ職場で雇い主かもしれないけど、もっと強く出ても。と思いつつ夫婦の不思議さにため息。あと酒井順子さんの解説に噴く。事実は軽く小説を超えるのねーと。何か荒野中毒になりそう。もっと読みたいかも。2024/05/15

manami

6
何年か前に、読売新聞に書き下ろしされた掌編小説。ご本人が来られて、芦屋でこの物語の創作秘話をされた「読書サロン」を思い出しました。あの時に読んでおけばよかった~と残念。もっともっと登場人物の心のうちをのぞけたかもしれないなぁ。井上荒野さんのままならない愛の世界が好きです。2024/12/03

yonemy

5
八ヶ岳、諏訪湖と記憶の風景を手繰りながらの読書。もんやりした心理状態の人ばかりが登場し、家族というのはそういうものだと頷く。仕事や恋愛などは白黒はっきり割り切れる人でも、家族問題となるといきなりグレーな感じになるのは、「百合中毒」のポスターが汚れてもなんとなく張られ続ける状態を表わしているのかな。ラストはもんやりが晴れる予兆を感じたので、やはり家族問題はグレーのままでよいとは作者も考えていないようです?今の私には難し~い御本でした2025/07/17

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