新潮文庫<br> 夜が明ける(新潮文庫)

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新潮文庫
夜が明ける(新潮文庫)

  • 著者名:西加奈子【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 新潮社(2024/06発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101349589

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内容説明

15歳のとき、俺はアキに出会った。191センチの巨体で、フィンランドの異形の俳優にそっくりなアキと俺は、急速に親しくなった。やがてアキは演劇を志し、大学を卒業した俺はテレビ業界に就職。親を亡くしても、仕事は過酷でも、若い俺たちは希望に満ち溢れていた。それなのに――。この夜は、本当に明けるのだろうか。苛烈すぎる時代に放り出された傷だらけの男二人、その友情と救済の物語。(対談・小泉今日子)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゴンゾウ@新潮部

104
本当に不器用なふたりの男の生き様が書かれています。西さんは現代の貧困がテーマだと。決して助けてと言えずに追い込まれていくアキと俺。そこまで頑張るなと声をかけたいと思いながら昔の自分を振り返ってしまう。読んでいて苦しくなりながらのめり込んでしまう。身体を壊し職を失った俺に後輩の森がかけた言葉で救われた。巻末の 西さんと小泉今日子さんの対談もよかった。【新潮文庫の100冊 2024】2024/07/27

ふう

80
高校時代に出会い、互いの存在に救われた俺とアキ。卒業後それぞれの道を歩き始めた二人は、自分の思いとはかけ離れた、重苦しく、やっと呼吸だけしているような日々を送ります。読み進める度にその状態はさらにひどくなり、わたしまで息苦しく重い気持ちになりました。現実の社会でも、こんな苦しい状態に追い込まれている人はたくさんいて、死や犯罪に手を出す人もたくさん。助けてと声をあげることさえできない人もいます。「助けを求めてください」という森の言葉は、そのまま作者の強い願いですね。きっと手を差し伸べてくれる人がいるからと。2024/10/29

道楽モン

80
代表作『i』『サラバ!』で長編でのストーリーテラー技術を十分に発揮した作家が、今回挑んだのは実にヘヴィな社会派かつ同時代性を有した長編で、その創作姿勢にプロ意識と誠実な人間性を感じる。素晴らしい。当然ながら作品に込められたテーマは重く、受け止められない程の熱量を帯びてはいるが、しかしながら現実社会の一部を反映したものであるからこそ無視も出来ず、読者は受け止める覚悟がいる。作者の技量と努力は、これらの困難を見事にリーダビリティ豊かな作品としている。受け取ったバトンをどう活かすかは読み手に委ねられているのだ。2024/08/02

りゅう☆

76
日記で知るアキと俺の人生が描かれた物語。アキは幼い頃から母の虐待を受け、俺は高校時に父を亡くし生活が一変。高卒後、アキは演劇を目指し、俺はテレビ業界へ。体がデカく、吃音があり、視力が悪く目つきの悪い裸眼のアキを受け入れた劇団で一生懸命みんなのために頑張るアキ。一方、俺はとにかく忙しい日々。二人とも希望に満ちてたのに現実は…。俺は過酷な日々で壊れて、アキは主宰に避けられる。読んでも読んでも光が見えない。いつか必ず『夜が明ける』んだよね?遠くに離れて疎遠でも二人の心の中にお互いの存在があることだけが救いかな。2025/01/26

もぐたん

69
苦しいながらも希望があった前編、どん底のような後編。それでも人生を続けることを選んだ男達の、壮絶な生き様。最後まで読んでも、決して晴れることのない胸の中には重いものが残される。それぞれの夜は、本当に明けたのだろうか。誰かに助けてと言えるくらいの精神状態すら保てないことなんてざらにある。身体的な傷がなくても精神的な傷が体を蝕むことも。経験のない人なんていないはず。知らない人なんていないはず。この世界は不公平で不条理で理不尽だということを。その事実をあらためて突きつける作品。★★★☆☆2024/12/11

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