内容説明
道沢一番という名前は、「何事にも一番になれるように」という父の願いで付けられた。
重荷に感じたこともあったが、父には感謝している。「男らしく生きろ」という父の期待に応えることで一番の人生はうまくいってきたからだ。
しかし二年の交際を経て恋人の千凪にプロポーズしたところ、彼女の返事は「好きだけど、愛したことは一度もない」だった――。
千凪はアロマンティック・アセクシャル(他人に恋愛感情も性的欲求も抱くことがない性質)で、長年、恋愛ができないが故に「普通」の人生を送れないことに悩み、もがいていたのだった。
千凪への思いを捨てられない一番と、普通になりたい千凪。恋愛感情では結ばれない二人にとっての愛の形とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
236
王様のブランチのBOOKコーナーで紹介されたので読みました。 君嶋 彼方、2作目です。今時の恋愛譚、恋愛も人も千差万別だと思いますが、本作の「アロマンティック・アセクシャル」もLGBTQも増え過ぎた人類を抑えるための地球の自浄作用ではないでしょうか❓ 愛自体元々幻想だと思いますが・・・ 「アロマンティック・アセクシャル」と言う言葉を本書で初めて知りました。 https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322312000035/ 2024/07/18
のぶ
115
アロマンティック・アセクシャルという自分の知らない、性的マイノリティをテーマにした物語。主人公は、道沢一番と神崎千凪の2人。ストーリーは、交互に2人それぞれの視点から描かれる。一番と千凪の恋愛は極めて順調。千凪を実家に伴い両親に紹介した後、一番はプロポーズし、千凪から応諾の返事を得ます。しかし、その後に、千凪から「好きだけど愛したことは一度もない」、キスもセックスも実は苦痛でしかなかったとカミングアウトされてしまう。愛の在り方について深く考えさせられる話だった。何とも言えない余韻を残すラストも印象的。2024/07/30
ゆりあす62
96
★★★★☆ 人間の感情ほど、不確かなものはない。いくらその人を愛してると言っても、それが永遠だなどとだれも確かめようもないのだから。それでも愛していればその人を深く知りたいと思うし、一緒に居たいと思う。もし、人を愛することが生まれつき出来ないとしたら。アロマンティク・アセクシャル(他人に恋愛感情も性的欲求も抱くことがない性質)で人を愛せない彼女と、彼女と結婚を考えてそれを告白された彼。やっぱりあの人じゃなきゃだめなんだ。答えは出ているような気はしたが。なかなか難しい二人の未来。乗り越えられるか。2025/05/03
やも
85
読めてよかった。本当によかった。私の中の新しい価値観スイッチがポチッとされた。人なら恋に落ちて当たり前、ってことを言う人間にならずにすみそう。一番君の恋人の千凪さんはアロマンティックアセクシャル。他者に対して恋愛感情や性的欲求を感じないのだ。一番君は性欲もあり、古風な親の教育下で育ったこともあり、結婚して子供に恵まれて、というのが間違いない幸せだと思っていた。それが千凪の告白を聞いてどうしたかと言うと…。うん、本当に読めてよかった。愛ってなんだろう?思わずぐるぐると考えてしまう良書。2025/02/20
itica
82
性的マイノリティのひとつ、アロマンティック・アセクシャルの千凪と、恋人の一番の物語。アロマンティック→他者に恋愛感情を持たない、アセクシャル→性的欲求を持たない。そう定義があるようだが、そこはグラデーションになっていて人によって細かい違いがあるらしい。他人から理解され難いため、公言せずにいる人は多いのかもしれない。私にとって分かり易い教科書みたいな小説だった。マイノリティも尊重できる自分でありたいし、誰もが生き易い世の中になってほしいと思う。 2024/08/21
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