新潮文庫<br> 二百十日・野分(新潮文庫)

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新潮文庫
二百十日・野分(新潮文庫)

  • 著者名:夏目漱石【著】
  • 価格 ¥506(本体¥460)
  • 新潮社(2024/05発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101010168

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内容説明

“豆腐屋主義”の圭さんと奔放な性格の碌さん。江戸っ子二人の軽妙な会話を通じて、金持が幅をきかす社会を痛烈に批判する『二百十日』。理想主義が高じて失職した元中学教師の文筆家・白井道也と二人の青年・高橋と中野。学問、金、恋、人生の葛藤を描く『野分』。漱石の思想や哲学をもっとも鮮やかに体現する二作品。(解説・紅野敏郎)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

174
金による権力が横行する世の中への憤りが吐露された2篇。『二百十日』の圭さんは著者譲りの気骨ある慷慨家だが、その発言は暗示的。これが『野分』で道也を軸に具体性を帯びるので流れとしてもスムーズ。知識人の経済的困難や家計の不如意についての夫婦間軋轢など『吾輩は猫である』『道草』と重なる構図が見られる。愚痴っぽさや中野の登場はコミカルでもあり、一方的善意による金銭の無心というのも珍しい大らかさ。社会批判がストレート過ぎて人物の陰影はやや乏しい。一人坊っちを結果ではなく前提と見れば「自由」が人の為めに向いたりする。2022/06/14

ケイ

146
「学問すなわち物の理がわかると云う事と生活の自由すなわち金があるという事とは独立して関係ないのみならず、かえって反対のものである。学者であればこそ金がないのである。金をとるから学者にはなれないのである。学者には金がない代わりに物の理がわかるので、町人は理屈がわからないからその代わりに金を儲ける」「自分達は社会の上位に位して一般から尊敬されているからして世の中に自分ほど理屈に通じたものは無い。学者だろうがなんだろうが俺に頭を下げねばならんと思うのは憫然のしだいで、彼らがこんな考えを起こす事自身がカルチャーの2017/12/08

優希

121
同時期に書かれた2作品がおさめられています。ユーモアと社会批判という対照的な作品ですが、俗世間の痛烈な批判と非人情から人情への世界へと導こうとするテーマは共通しているように思いました。会話主体で軽く読める『二百十日』、その世界を引きずりながらも鬱と深みを感じさせる『野分』。漱石の思想を反映している作品と言えるでしょう。2015/10/10

ゴンゾウ@新潮部

119
「二百十日」とても良かった。圭さんと碌さんのふたりの洒脱な会話の中に漱石の反骨精神が描かれている。「野分」は「草枕」に比べわかり易かった。学者としての漱石の志しが道也先生の不器用でぶれない生き様を通して訴えかけられる。2016/09/16

mura_ユル活動

111
碌さんと圭さんの押し問答が続く。その会話の中にほのぼのしたものを感じる。二百十日(9月1日頃)は立春からの210日目のことで風雨の強い日が多いことから、農家の厄日とされている(関東大震災はその9月1日)。阿蘇の山を登っていくが、噴煙が雨と混ざり体にまとわりつき、二人は進むことをあきらめる。隠喩的に社会の華族(金力や威力)にあらがう様子を表現しているともとれる。阿蘇登山のところは集中して読んだ。その当時に比べると自分の努力でできること増えているのかもしれません。野分は読まず『二百十日』のみ拝読。「ねえ」。2016/12/18

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