内容説明
世界4 1カ国で2 5 0万部超え! マン・アジア文学賞受賞の名作『母をお願い』の申京淑、待望の新作
父は、泣く。父は、彷徨う。父は、怯える。父は、眠らない。父に寄り添う暮らしは、思いがけないことばかりだった。「私」は思う。いったい父の何を知っていたというのだろう。
主人公の「私」は中学生の一人娘を事故で失い、かたくなな心を持て余している孤独な女性作家。高齢の母がソウルの病院に入院したため、故郷に一人暮らしとなった父の世話を兄弟たちに頼まれ、老いた父に向き合うことになる。「アボジ(お父さん)」と呼びかける父は一九三三年生まれ。植民地期、朝鮮戦争、南北分断、軍事独裁、民主化抗争といった朝鮮半島の激動の時代を生きてきた。
「苦難の時代を生きた」人、「もし、いい世の中にめぐりあっていたなら、もっといい人生を生きることができたであろう」人……。そんな「匿名の存在」に押し込めて過ごしてきた父に、あらためて寄り添い、「私」が分け入っていく父の記憶のひだ、父の人生の物語。
「極めて個別の父」を描きながら、読み手の胸を震わせ目頭を熱くする「普遍の父」とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
35
読み友さんの感想を読んで。「わしは何もしなかった」というアボジから零れ落ちる記憶が、家族の言葉から拾い上げられていく様が見事だった。そして読みながら、自分と父親の関係を思わずにいられない。仕事好きで家庭には不在だった父の背中を思い返すことは難しい。けれども50を過ぎ、難しい年ごろの娘に向き合いながら、娘と自分の日々に父親の存在を目をすがめ見出そうとしている自分がいる。FENの流れる車内、霞が関ビル。…ボーナスが出ると千葉から都心まで美味しいものを食べに行った、あの帰り道。あの車内が父と私なんだなあ。2024/10/22
ケイトKATE
23
父親のことをきちんと向き合っていないことに気付かされる小説だった。作家のホンは、オモニ(母親)が入院したことで久し振りに実家に戻り、アボジ(父親)と暮らすことになった。アボジとの生活で、子供時代に両親を失い、朝鮮戦争で殺されそうになった辛い過去。20歳で結婚し、家長として子供たちのために懸命に働いたアボジの人生を知ることになった。家族の幸せがが自分にとっての幸せと信じたアボジの生き方に無償の愛を感じた。”生き抜いたんじゃ。父が言った。おまえたちがおったからこそ、生きたんじゃ、と。”最後の言葉に心打たれる。2024/05/24
Red-sky
1
ここで語られてきたのは、この父だけが体験したとこではなくて、韓国全体が通ってきた道で、みんなが体験した傷なんだと思う。伝染病で幼いときに上の男兄弟、両親を亡くして家長となり、朝鮮戦争で同族同士、近隣で闘い、独裁政権で多くの市民が傷つき、貧困と闘いながら幼い子を育てあげる重圧、素早く変遷する社会で子には学を身に着けせなくてはと奮闘する、それを体験していたアボジのこれまで語られることのない記憶が脳の奥に眠らぬ記憶としてずっと疼き続けてきていたのだろう。2026/01/24
卍ザワ
1
韓流文学とやらに期待してたのだが、なかなか、ページが進まず、読了に時間がかかってしまった。読みやすく、内容は悪くないが、思い返せば、朝鮮と相性が悪いのか、K-POPや韓流ドラマに嫌悪感を感じずにはおられず、本書にも苦手意識があるみたいで、話の続きに、まったく興味が持てなかった。ハン・ガンの「少年がくる」も、本書と同時に購入したのだが、ノーベル賞も獲ってるし、大丈夫だろう、と願わずにはいられない。 2025/02/05
Sachiko
0
6人きょうだいの4番目である作家の「私」が故郷にひとりいることになった(母が病気治療のためソウルに長く暮らすことになりそうだったため)父の世話をしに帰る。認知症のような症状が出る父に戸惑いながらもしばらくいっしょに暮らすうちに、これまでにあったいろいろなことを思い出す。家族から父について聞き取り、近所の人、古い友人などからも知らなかった父のことを知るようになる。父が生きてきたのは韓国の独裁政権時代でもあった。地方に残されているのは高齢者ばかりという現実も実感する。長いけれどもお勧めします。2026/01/12
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