内容説明
25歳で七冠を制した羽生善治。
勝敗の数を超えたその強さと人生を、
藤井聡太らトップ棋士たちとの闘いを通じて描く。
宇宙のように広がる盤上で駒をぶつけあう者たち――。
本書は、名対局の一瞬一手に潜むドラマを見逃すことなく活写してゆく。
中学生で棋士となった昭和。勝率は8割を超え棋界の頂に立った平成。
順位戦B級1組に陥落した令和。三つの時代、2千局以上を指し続けた
羽生善治、そして共に同じ時代を闘ったトップ棋士たちの姿を見つめながら、
棋士という“いきもの”の智と業をも浮かび上がらせる。
「週刊文春」連載時より大きな反響を呼んだノンフィクションに
新たな取材、加筆を行った堂々の一冊。
【主な登場棋士】
米長邦雄/豊島将之/谷川浩司/森内俊之/佐藤康光/深浦康市/渡辺明/藤井聡太
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
269
羽生善治の棋戦エピソードを通じて、対戦相手は勿論の事。元を含めた奨励会員や将棋記者、将棋道場や将棋会館の職員など関わる人々の人生やら胸中やらを詳らかにして行くのね。関わる人々の想いと共に、特にトップ棋士の場合は、煌めく才能と将棋哲学にも通ずる様な業が浮き彫りにされる様で胸を熱くします。実は藤井棋士と同じ出身地でね(そして青山美智子さんの高校の近く)。デビュー以来、観る将的に応援しています。でも第72期王将戦ですよ。何方を応援しようか悩みました。でも幕を開けたら、自然と羽生さんを応援していましたよ。2024/10/27
アキ
94
「羽生さんは指先から本筋が溢れ出てくる」永世竜王渡辺明が語る羽生善治評。米長邦雄名人が50歳の時、22歳の羽生善治に名人位を明け渡した。それから羽生は25歳で七冠を制覇し、99ものタイトルを獲得し1527の勝ちを積み重ねてきた。AI時代が来て、藤井聡太が現れた。2023年3月第72期王将戦で20歳の藤井聡太が50歳を越えた羽生善治に勝った6局を中心に周囲の棋士、記者、記録係の人生も絡めて、羽生善治の棋士としての生き様をあぶり出している。それは25歳で七冠を制覇してから変わらない。将棋の本質を探す旅なのだ。2024/07/07
tonnura007
90
将棋との出会い、プロ入りしてからの大躍進、名人に駆け上がりそのまま七冠制覇、、、そして無冠となりA級からの陥落。しかし、羽生善治九段はさらに自身の将棋を磨き続け、令和時代の天才に挑む。 印象的なのは米長名人に公然と名指しされ、翌年本当に名人へ挑戦し戴冠する第一章。中原米長世代から谷川、そして羽生世代へ時代が大きく変わるポイントになったことは間違いない。大山十五世名人の時代には盤外戦術なるものが多用されていたが、羽生九段自身は盤上での勝負に集中する。時代とともに将棋に対する考え方が変化することも興味深い。2025/03/27
けんとまん1007
86
やはり、羽生さんは特別な存在であると再認識。獲得したタイトル数や、勝利数・対局数だけなく、風情や醸し出す雰囲気も含めてそう思う。気が付くと、羽生さんが年齢を重ねるにつれて、持つ印象がどんどん良くなってきているのは、そういうところからきているのかもしれない。その羽生さんと、知っている棋士の方との関わりが興味深い。それぞれの個性がうまく描かれている。読み終わって、「いまだ成らず」というタイトルの意味が、わかってきたように思う。2024/09/25
道楽モン
72
情け無用の勝負の世界。盛者必衰であり生々流転。ひとりの突出した天才の出現が、世界を一変させる。我々は現在、将棋界において、藤井聡太による羽生世代棋士からの世代交代を目撃している。とはいえ、彼らもまた前世代を淘汰してきた歴史があり、日本将棋連盟が存続する限り、この繰り返しは続くのだろう。本書は頂点を極めた羽生善治9段の軌跡と、羽生世代の代表的棋士たちの歩みをまとめたものだ。B級に転落しても引退せず、自らの成すべきことを全力で成し遂げる姿勢のみならず、若い世代に切り込もうとする闘士としての宿命が熱い。2024/09/08
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