内容説明
「外交の失敗は一国を滅ぼす」。1980年の初当選以来、その信条と共に政治活動を続けてきた希代の外政家・高村正彦。その軌跡は、国民世論と国際貢献の狭間で苦闘してきた冷戦後日本の姿と重なる。自衛隊の海外派遣、強大化する中国との関係、アジアの民主化、集団的自衛権の一部容認まで、日本外交の舞台裏を語る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yurari
4
お堅いタイトルだがとても面白かった。オーラルヒストリー形式は話者の体温が感じられ、伝わってくる情報が生き生きとしている。/外交の失敗は一国を滅ぼす/2024/11/10
省事
4
高村正彦元自民党副総裁の外交・安全保障に関する回想を証言した記録。既刊の『私の履歴書』や大下英治による評伝と重なるところもあるが、上記の分野、に関する高村の透徹したある種の世界観が感じられ興味深い(終盤の大江健三郎に対する論評などもおもしろい)。ぞんざいにも思える口調もよく人となりを伝える。なお聞き手側の一人の兼原元内閣官房副長官補の「解説」のようなパートが時折挟まるが、ここは冗長で内容もあまりないので読み飛ばした方がよい。2024/08/03
高木正雄
3
郵政民営化への冷めた見方や政治家評は面白い。胡錦濤政権は日中蜜月とは言えないだろうが、良好な関係の内幕を知ることができた。日中の政治家同士の繋がりというのもこの人の世代ぐらいまでか2024/09/11
greeneggs
2
日本外交以外のことがらも多く含めた座談会。 興味深く読めた2024/11/11
NAGISAN
2
「兼原君、この国には、小さな常識があっても大きな常識がない人が多いんだよ。」。テレビを通じた紳士然とした口調の高村氏のイメージとは異なる。弁護士らしい論理思考と現実主義の政治家として、内外の政治家や官僚との人間関係を築き、外交折衝に取組まれたヒストリー。「外交の失敗は1国を滅ぼす」。この点、野党やマスコミへの苦言も随所に。後進の者には、「運こそ実力」、「継続は力なり」で締めくくり。政権与党では役職が与えられ経験で人材が育つ可能性があるが、全国会議員のレベルアップの制度化は出来ないものだろうか。2024/10/05