内容説明
数々の天変地異に見舞われながら、ミチノクの人々はひたむきに生き、確かな文化や習俗を育んできた。西馬音内、黄金山、苗代島、遠野郷――生まれ育った仙台で執筆を続ける私小説作家が辿る、現代の「おくのほそ道」。東北で生きる人々の人生の曲折を、還暦を迎えた自身のこれまでと重ね合わせて描く、九つの紀行小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
32
☆☆☆★ 佐伯一麦の東北紀行文学。昔から災害、飢饉に苦しんできた土地故に、言い伝えや人柄に東北らしさがにじみ出るのは、私も旅行をしていて感じることだ。ただ更に佐伯一麦は、自分が東北の語り部になるのだとも言うべき並々ならぬ思いで文章を綴っている感じがする。死者との交流のような西馬音内盆踊り、涌谷の砂金採り、祖霊が鎮まる過去の世を表す月山・現世を表す羽黒山・未来を表す湯殿山そして山伏の修行、高校時代の友人で医者のAの膵臓がん、地震により陸地となった象潟と松尾芭蕉、会津の貞観仏、伝承の遠野郷。2024/07/28
信兵衛
14
地味な作品ですけれど、味わいは深い、そう感じます。 なお、作者と高校時代からの友人であるA医師との交流、胸に残ります。 また、特に印象に残った場所は、孤島である<飛島>。2024/07/31
遠い日
6
佐伯一麦氏の故郷東北の紀行文学。落ち着いた筆致がいつもながら読書の喜びをつれてくる。わたし自身訪ったことのない東北という地への憧れを持って、氏と同行するように見聞した気分。とはいえ、全く知らない地なので距離感や空気感もイメージでしか捉えられていないであろうことが少々残念。氏の過去の作品で読んでいた事象も挟まれ、あれがここに活きてくるのかと気づくのも楽しかった。やはりいちばん心惹かれるのは遠野郷。伝説の多くのなんとも魅力的なこと。不可解で、奇妙であればこその吸引力に抗えない。2025/08/26
にゃん
5
若い友人が貸してくれた。是非読んでほしいとは口にしなかったけれど故郷が同じく仙台ということもあるのか、、。久々の佐伯さんはやはり静かで文学的。 西馬音内盆踊りもスマホ検索で見ることができ、すぐに八尾の風の盆を想起。時々会話の中に出てくる仙台弁が優しく想えた。 2026/05/06
夕暮
5
なかなか手強い作品だった。地理とかその土地にまつわる歴史とか郷土史的なものを読むのが本当に苦手だとわかった。2024/08/16




