内容説明
人道主義の長い歴史の中、戦火は激烈かつ長期化する現代、難民をめぐる状況には新たな介入が必要である。従来、脆弱さが強調されてきた難民の「自立と回復力」に近年は注目が集まる。本書は人間により作られた災害に焦点を合わせ、「危機」において難民に関わる共通の問題を明らかにする。これまでの「恒久的解決」を超えて、新たな選択肢へ向かう。
目次
まえがき
序 章 動く世界――移住のダイナミクスとグローバル公共政策
第1節 難民という人々をめぐる状況
第2節 難民(法)・人道・人権――相互に密接な関係
第3節 避難原因へのアプローチと解決への問題点
第4節 性差による移動のリスク
第5節 難民キャンプを離れ、都市難民になる
第6節 横行する「避難の政治」による問題
第7節 受け入れ社会と難民――定住から統合へ
第8節 難民主導の社会保護の役割――ソーシャル・メディア、移住、技術とのつながり
第1章 難民と人道主義――状況の設定
第1節 ザイール難民キャンプ――治安問題と難民保護
第2節 新しい用語の発明――「複合的緊急事態」
第3節 「緊急事態」への対応姿勢と組織・人員体制
第4節 人道主義の新しい時代――グローバル化の進展と桎梏
第5節 操作される難民のイメージ
第6節 傍観する国家と憐れみの力
第7節 信義に基づく人道主義
第2章 難民と人道主義の関係史
第1節 概観――人道主義の誕生、その特徴と論点
第2節 歴史上の時期区分
第3節 帝国人道主義の時代――一八世紀後半・一九世紀初め~第二次大戦まで
第4節 近代人道主義の時代――第二次大戦終結から冷戦終結まで
第5節 新自由主義的人道主義の時代――冷戦終結から現在まで
第6節 人道援助の現代的様相
第3章 人はなぜ、人を助けるのか?――定義、原則、制度と区別基準
第1節 人道主義の範囲、規模と意味の拡大
第2節 人道主義の象徴としての子供――キリスト教の伝統と背景
第3節 人道主義とコミュニティ
第4節 人道主義に「定義」はない――人間のあるべき本質よりも、歴史でつなぐ
第5節 人道主義のアイデンティティ――国際人道四原則
第6節 判断・評価の倫理的立場と、勃興する実用主義
第7節 非難を受ける人道組織
第8節 「非政治」という縛りと強い権力
第9節 国際人道社会の現在――果たして進歩はあったのか?
第10節 人道主義の限界と方向性
第4章 現代的人道主義の種類と戦略的思考――可能性と結果
第1節 援助場面での軍事力利用
第2節 人道主義の二つの思考と四つの理念型
第3節 人道主義の様々な性格と特徴
第4節 人道的介入
第5節 相互の疑念のなかで模索される協力関係
第6節 事態への新しい対処方針とは
第5章 国家主権の顔をもつ人道主義――政治と倫理の結びつきの変化と緊張
第1節 国家主権のあり方の変容と対応苦慮の人道組織
第2節 協調が問われた欧州難民危機
第3節 国家をあおり政策を補完するマスメディアの功罪
第4節 グローバル難民コンパクト――先延ばしされる課題
第5節 UNHCRの対応と戦略
第6節 グローバル政治、国家主権と人道主義
第7節 任意的な負担分担
第8節 移住をめぐる公共政策と倫理
第9節 移住政策のジレンマ――統合か帰国か
第10節 人間性を通じた統治の実現へ
第6章 封じ込めとしての人道主義――難民キャンプでの保護と援助
第1節 隔離収容は解決策なのか
第2節 援助構造が生み出す依存症候群
第3節 異常なコミュニティと屈辱の気持ち
第4節 強大な管理と難民による偽りのイメージ操作
ほか
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