内容説明
アラバマ州グレイス。連続少女失踪事件が解決されないまま、サマーという少女が失踪した。双子の妹レインは、姉の失踪に疑念を抱く。サマーが私を置いていくはずがない。だが、レインが姉の足取りを追うにつれ見えてきたのは、彼女の知らないサマーの姿だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
75
1995年、15歳の少女サマーが失踪した。双子の妹レインは「これは家出ではない」と確信して2人の少年と探し始める。この地帯では数年前に連続誘拐事件が起こり未解決。教会に通う5人の少女が姿を消していた。エピローグから始まり犯人探しと事件解決の一冊だが、その中に折り込まれたのは宗教、暴力、そして雲が垂れ込めた暗い街。そこで青春をすごす若者たちの生き様。『われら闇より天を見る』より弱いが少年少女の心情が今作も丁寧に描かれていた。無力で非力なのに力強い若さの魅力と、抗えない運命。慣れるまで読みにくいのだけが残念。2024/06/04
里愛乍
74
以前に読んだ作品がとても良かったので、新作である本書を手にする。挟み込まれた膨大な登場人物の書かれたカードに一瞬怯むも、ストーリーは至ってシンプル、消えた少女を追う、探す。それが其々の視点で描かれる。それはかなりテンポよく展開し、読み進めてはいけるものの、終始文面からは曇天のような重苦しい空気が漂っていた。物語は完結に近づいているはずなのに一向に晴れない、そんな感じだ。ただサブタイトル通り、ラストに一抹の光を感じる事は出来たように思う。2024/08/12
星落秋風五丈原
74
ミステリの点から見れば、署長がもう少し積極的に事件捜査にあたればいいのだが、彼は自分の判断で部下‐ノアの父親‐を死なせたことにこだわっており、トラウマ克服に忙しい。牽引する捜査ポジションがいなければ、超法規的に犯人を裁ける名探偵役がいればと考えるが、そのポジションもいない。そのため、ミステリというより、サマー、レイン、警察署長ブラック、レインに気がある警察官気取りのブラックなど、複数視点から街の人間模様を浮き彫りにする群像劇の味が濃い。お互いの過去を知りすぎるほど知っているから言いたくても言えない。 2024/07/30
オーウェン
69
クリス・ウィタカーの新作。 前作の「われら闇より天を見る」がすごい作品だったので、自ずと期待値は上がる。 15歳で双子の姉のサマーが失踪から始まり、妹のレインが親友たちと町を捜索。 他にも5人ほど町では失踪を遂げており、捜査する署長のブラックも頭を悩ます日々。 構成が現在とサマーの視点を交互に映すので、全容がなかなか見てこないもどかしさがある。 あと登場人物表に出てこないキャラが重要なカギを握っており、犯人に驚くというよりはレインをはじめとした少年少女たちの青春ミステリという感じだった。2024/07/04
stobe1904
62
【クリス・ウィタカー長編作品】少女の失踪事件が続くアラバマ州の田舎町グレイス。双子の姉サマーが失踪し、妹のレインは懸命に捜索を始めるが…。『われら闇より天を見る』の印象が残っていたので、ハードボイルド調のミステリ作品と勝手に思い込んで読み進めていたが、ミステリというより文芸小説寄りで、十分な読み応えと読後の深い余韻を与えてくれる素晴らしい作品だった。閉塞感が漂う田舎町で懸命にサマーを探すレインとそれをサポートする少年2人の固い絆に胸を打たれる。ミステリを期待すると物足りないかも。★★★★★2024/11/30
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