核兵器

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核兵器

  • 著者名:多田将【著】
  • 価格 ¥4,400(本体¥4,000)
  • 株式会社明幸堂(2024/05発売)
  • ポイント 40pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784991034824

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内容説明

極小の世界が生み出す、極大の破壊力。人類史上最強の兵器を純粋に物理学の側面から解明する。

圧倒的な破壊力のため、誕生した年に二度使用されただけでその後70年以上実戦で使われていない核兵器。
しかしその間も改良が重ねられ凄まじいレベルにまでその威力を高めていた。

原子核の分裂と融合が、なぜこれほどのエネルギーを生み出すのか。
またそのエネルギーを、一瞬で消費し尽くすための設計とは。
天然の鉱石から「燃料」に加工するまでの、気の遠くなるような濃縮の工程。
核分裂兵器(原爆)から核融合兵器(水爆)へ──そして究極の核兵器W88の誕生。

20世紀初頭に異常発達した物理学の総決算であり人類が元来持っている闘争心と、飽くなき知への欲求が結実した究極の産物──その複雑で精緻なメカニズムを政治的、倫理的な話は抜きに、純粋に物理学の側面から解明していく。

著者自ら作成したグラフやCAD図をはじめ本書でしか見られない図版を多数収録。
数式や表、さまざまなデータを駆使しながら、緻密に、定量的に、その実体に迫っていく。
専門書としての魅力、資料的価値を最大限高めながらもユーモラスな喩えやイラストなどを織り交ぜることで理系ではない読者にも読み進められる「限りなく専門書に近い一般書」を実現。

【著者】
多田将
京都大学理学研究科博士課程修了、理学博士。高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 准教授。著書に『兵器の科学1 弾道弾』『放射線について考えよう』(明幸堂)、『核兵器入門』(星海社新書)、『ソヴィエト連邦の超兵器 戦略兵器編』(ホビージャパン)、『ソヴィエト超兵器のテクノロジー 戦車・装甲車編』『同・ 戦闘機・防空兵器編』(イカロス出版)、『すごい実験』『すごい宇宙講義』(中公文庫)、『ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>』『ニュートリノ』(イースト・プレス)などがある。

目次


第1章 原子核
1.1 その男は、東海村からやって来た
1.2 原子力施設の熔接技術によってつくられた戦車
1.3 原子の構造
1.4 原子核の構造


第2章 放射線
2.1 不安定核の粒子の放出
2.2 不安定核のエネルギーの放出
2.3 放射線は何故危険か
2.4 エネルギーの単位


第3章 核分裂と核融合
3.1 不安定核の分裂
3.2 核分裂断面積
3.3 マクロ断面積
3.4 核分裂反応に於ける質量欠損


第4章 連鎖反応
4.1 温度
4.2 核分裂の連鎖反応
4.3 核分裂の連鎖反応にかかる時間
4.4 原子炉


第5章 核燃料
5.1 ウランの採掘
5.2 ウランの精錬
5.3 ウランの転換
5.4 ウランの濃縮


第6章 核分裂兵器
6.1 マンハッタン計画
6.2 砲身型核分裂兵器
6.3 爆縮型核分裂兵器
6.4 ソヴィエト連邦に於ける核分裂兵器の開発


第7章 核融合兵器
7.1 テラー ウラム型熱核兵器
7.2 3F兵器
7.3 特殊な核兵器
7.4 リチウム7の効果


巻末図表

カラー図
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きゃれら

23
核兵器がいかに木亥火暴を起こすか、どのような技術を使っているかを平易な日本語と手加減なしにしか思えない数式で説明している。ウクライナの出来事の先に自分も核爆弾で殺される未来が想像できて、その前に知れることは知ってやろうと手にとったわけだが、要求には応えてくれた気がする。新しい知見・技術により工夫して目的を達しようとする話には、恐ろしいことにワクワクしてしまった。プロジェクトXを見ている気分である。ただ、実際に爆発するメカニズムのところでは「失敗すればいいのに」と思ったり。未来永劫使われないことを祈る。2022/04/11

モリータ

10
◆2019年刊。著者は京大理学研究科修了、高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所准教授。◆図書館で。2022/3/14。◆本書のテーマは「核兵器はどのようにして爆発するのか」だが、これは今の興味ではないので、最終部分の7.5節「核兵器が与える影響」のみざっと(10頁前後)。◆核兵器の出力の「ものさし」を銘記する必要。広島型原爆が15kT前後、米軍配備のトライデント2にはW88(475kT)を最大8発搭載可能。トライデント搭載の低出力核弾頭W76-2はプライマリ(起爆用原爆)のみを利用し5-7kT。

10
核兵器を、純粋に物理学的視点から論じたもの。いやしかしすげー本だった。一見難しいようで、読んでみるとやっぱり難しいが、所々お茶目な表現(「木亥火暴」「ぬこサン」など)もあり、説明も丁寧。学問が最先端を行くと必ず政治的要素が絡んできちゃうんだなと実感した。広島長崎への投下後も、核分裂から核融合へと研究は進むものの使用はされず、今なお地球が存在してることが奇跡のように感じた。2020/12/18

HaruNuevo

6
人類が生み出した最強最悪の兵器、核兵器について、放射線についての基本知識から、核分裂兵器の原理、核融合兵器の原理まで、ギリ文系にも頑張ればある程度の理解が出来るところまで噛み砕きつつ、かといって定性的だったり情緒的だったりといった内容に流れることなく、非常に歯応えのある、さらに読み応えのある、そして改めて戦争について考えさせてくれる、まさに力作。多田先生の本としては、『放射線について考えよう』と本書は、これからも何度も読むことになりそうだ。2020/10/11

takao

2
ふむ2023/05/14

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