文春新書<br> ロシア文学の教室

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文春新書
ロシア文学の教室

  • 著者名:奈倉有里【著】
  • 価格 ¥1,500(本体¥1,364)
  • 文藝春秋(2024/05発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784166614578

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内容説明

「ロシア文学の教室」から小説の世界へワープ――異色の体験型・文学教室!
青春小説にして異色のロシア文学入門!

「この授業では、あなたという読者を主体とし、ロシア文学を素材として体験することによって、社会とは、愛とは何かを考えます」
山を思わせる初老の教授が、学生たちをいっぷう変わった「体験型」の授業へといざなう。

小説を読み出すと没頭して周りが見えなくなる湯浦葵(ゆうら・あおい)、
中性的でミステリアス、洞察力の光る新名翠(にいな・みどり)、発言に躊躇のない天才型の入谷陸(いりや・りく)。「ユーラ、ニーナ、イリヤ」と呼ばれる三人が参加する授業で取り上げられるのは、ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』、ドストエフスキー『白夜』、トルストイ『復活』など才能が花開いた19世紀のロシア文学だ。

社会とはなにか、愛とはなにか?
この戦争の時代を考えるよすがをロシア文学者・翻訳者の著者が真摯に描く
「ロシア文学の教室」。

【取り上げる作品】
ニコライ・ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』
アレクサンドル・プーシキン『盗賊の兄弟』と抒情詩
フョードル・ドストエフスキー『白夜』
アレクサンドル・ゲルツェン『向こう岸から』
ミハイル・レーモンルトフ『悪魔』
イワン・ゴンチャロフ『オブローモフ』
イワン・ツルゲーネフ『父と子』
ニコライ・ネクラ―ソフ『ロシヤは誰に住みよいか』
アントン・チェーホフ『初期短編集』
マクシム・ゴーリキー『どん底』
フセーヴォロド・ガルシン「アッタレーア・プリンケプス」
レフ・トルストイ『復活』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

130
面白かった~。すごく魅力的。 小説仕立てのロシア文学案内。ちょっと不思議な先生の授業は小説の中にいつの間にか入り込んでしまうのです。究極のフィールドワークw 相性もあるのかもしれないけど、この人の書くものはどれもとても好き。あの有力新人作家のおねえさん2024/09/24

buchipanda3

102
現代とは時代が違う古典文学と身構えさせず、当時の人間の身になって見える光景は今とどう違い、どう同じかということを親しみ感を持って描いていた。どの授業からも作家が作品で語りたいことが浮かび上がってくる。チェーホフの「やり直しの可能性など存在しない」という示唆は、だから目の前のことをしっかりと生きるという意識へ繋がる。何ごとも複雑にして本質を見失わせる現代と違い、古い時代ゆえに人の根源的な姿が素直に露わになっていると思えた。銀の時代の講義も描いて欲しい。ものいう苗字でその人物の設定が読めることも興味深かった。2024/06/18

マリリン

37
ロシア語もロシア文学も学んだことはないが、教室に潜入し枚下先生の講義を受講したくなる。各課のタイトルに惹かれる。 作中で印象的だった言葉...「人に働きかけてもいいのは愛情を持っている時だけ。戦争や戦争にまつわる一部の議論は、人間に対して前提として持つべき愛情や思いやりが完全に欠如した状態で進められている。あたかもこの方が正しいかと思いこんでいる人がいる...。」受講生新名の言葉も。「一切の根本的原因はそういう風に人間を愛情なしで扱っていい立場があると勘違いすること」ロシア文学の講義らしい発言だ。2024/09/30

aika

33
文学案内でありながら、その枠を超えて小説になっている。今までに出会ったことのない、新しい切り口のロシア文学入門書です。ウクライナ侵攻後に複雑な思いを抱えながらロシア文学を学ぶ大学生たちが、大柄な枚下先生の魔法にかけられるようにして、物語の世界を「体験」していく姿に、幻想的な手触りを感じました。 ゴーゴリからトルストイに至るまで文学の森を歩く学生たちの思い思いの意見と、それに対する先生のコメントに触れていると、先人たちの批評や定説に惑わされずに、「自分で考える」ことの大切さがひしひしと伝わってきます。2024/06/09

川越読書旅団

29
「同志少女」 → 「文学兄弟」の流れで同書席にたどり着く。ロシア文学におけるエポックメイキングな作家・作品を、大学の講義形式、しかもその講義自体を群像小説風にアレンジしながらに解説する。奈倉先生のロシア文学に関する造詣の深さと姿勢には脱帽。2024/09/21

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