内容説明
僕は、町のローカルラジオ局で、深夜の番組を担当している。ある日ラジオで、十七歳の時に絵のモデルをしたことを話したところ、リスナーから、とある美術館で、僕によく似た肖像画を見た、と葉書が届く。そこから導かれるようにして、僕の時間は動き出した──。土曜日のハンバーガー、流星新聞、キッチンあおい、行方不明の少年、もぎり嬢の多々さん、鯨オーケストラ……時間も空間も記憶も越えて、すべてがつながっていく、小さな奇跡の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
105
吉田さんの三部作、「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に続くもので完結編です。今回の作品では主人公が音楽家であるオーケストラ(表題になっています)に所属しているのですが、必ずしも音楽ばかりではなく様々なことについても関係しているようです。肖像画の絵の人物に似ているといわれたりもします。いつもゆったりとした気分させてくれます。2024/11/24
aoringo
85
心穏やかな人達の出会いと心の交流。静かで触れると壊れそうな繊細な文章。17歳の時に描いてもらった似顔絵を巡って、美術館の神の鯨、土曜日のハンバーガー、鯨オーケストラ、心の友多々さん、そしてシリーズを越えて登場の太郎とサユリ。一枚の絵を追ううちに、共鳴する輪が広がっていく。深夜のラジオみたいに、どこまでも穏やかな静けさが心地好い。この雰囲気を味わいたくて他の作品にも手を伸ばすと思う。2024/08/09
アイシャ
42
穏やかな気持ちになれる小説。そもそも主人公33歳の男性、声を使う職業ってかっこいいでしょう。ローカルな環境ながら、ラジオのパーソナリティや声優を職業とする哲夫。亡くなった父親の跡を継いで、クラリネット奏者でもある。17歳の時に描いてもらった肖像画を通して、人との縁を次々と結んでいく。懐かしい感じのする人とか、店とか、町とか、私には経験のないことばかり。でもここち良かった。鯨は大きな軸になって人を結んでいった。2024/07/10
なつくさ
33
三部作、最終巻。吉田さんの物語を読むといつも思う。この世界から帰りたくないと。「感電」してしまうほどにそう思う。2024/08/03
アイシャ
28
「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」の完結編として手に取ったら、以前本作だけ読んだことがあった。その時はシリーズとして捉えていなかったし、本作の曽我さんが似ていると言われるアキヤマ君のこともよくわかっていなかったし。声のお仕事をしている曽我君はクラリネット奏者でもあって、鯨オーケストラの一員のなるだろうことは自明。そして17歳の時の彼を描いた多田さんに再会するところがワクワクした。人の輪が広がって行って、本当に優しい物語だった2026/03/12
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