内容説明
深川佐賀町の裏店に住まう棒手振りの八五郎は、平凡かつ地味な男。人並み外れた影の薄さが悩みの種だが、独り身ゆえの気楽な貧乏暮らしを謳歌している。そんな八五郎は、ある夜、巷で噂の幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」が旗本を襲う場に出くわす。物陰から固唾を呑んで闘いを見守る八五郎だが、一柳斎の正体が、隣の部屋に住まう浪人の雲井源次郎だと気づき――。影と秘密は江戸の華!? 期待の新鋭が贈る、書き下ろし傑作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
582
これは面白い。ひたすら「実は⋯」を繰り出し続けて王道な勧善懲悪に雪崩込むまさに痛快物語。主人公八五郎がまた味のあるキャラクターしていて、どこか平和な世界観が崩れることなく、万人受けする仕上がりになっている。一話目から怪しい辻斬りが出てきたと思ったら、いきなり正体ばればれなのがもう面白いw オチのつけ方もベタだけどこれ以上ない正解。一発アイデアな作品なので、続編はさすがに期待できないかもしれないが、もしこのテンション感持続したまま出せるなら⋯。他作品も笑える内容ならチェックしようと思う。2025/10/15
モルク
150
深川にある長屋に住む棒手振りの八五郎。実は長屋や八五郎に関わる人々がそれぞれ裏の顔を持っていた。辻切り、隠密同心、忍者さらに…ドタバタ喜劇と思いきやなかなか読ませる。そして八五郎自身も一番の欠点であるはずの影の薄さが功を成し…めでたしめでたし。あれれ!表紙を見ると見事にネタバレでござった!2025/05/19
kk
150
深川辺りの裏長屋で棒手振り稼業に日々を送る主人公。なりゆきで江戸の街を揺がす大事件に巻き込まれ、様々な裏の顔を持つ隣人たちに翻弄されながら、なんとなく巨悪の根幹に迫っていくお話。あまり難しく考えず、気楽に楽しんで読むのが吉と出たかな。2024/08/03
しんたろー
149
白蔵盈太さん初読み。「面白い!」と読友さん多くが感想を上げていて本屋さんでも一押しだったので買ってみた。平凡な長屋の住人・八五郎が巻き込まれてゆくテンポ好い展開で次々と「実は…」が笑える漫画のような楽しさ。登場人物の表裏のギャップと度々あるアクションシーンが効果的でサクサク読めた。人情+喜劇+活劇で、エンタメとして標準以上の内容は映像化にも向いている(どの役どころも演じたがる役者が多いだろう)。失礼ながら知らない作家さんだったが、次作も期待できる力量と感じたし、時代劇が苦手な人でも楽しめる良作だと思う。2024/12/02
ちょろこ
133
よくできている一冊。舞台は花のお江戸、深川佐賀町。超、平凡で地味で影が薄い棒手振りの八五郎はある夜、見てしまった、知ってしまった、旗本を襲う幽霊剣士の正体を。翌る日に隣の部屋に住まう浪人を見る目が変わり、まるで家政婦は見たと化した八五郎が面白い。その後もカードをめくってヒッとなるように次々と明らかになる八五郎の周りのあの人この人の別の顔。一人頭悩ませドキドキする八五郎を笑いながら応援しちゃった。見事に絡み合う人間模様は実によくできているわ。最後のカードはまさかのあの人!影は薄くても周りは…実に濃いじゃん!2024/12/08




