ちくまプリマー新書<br> 税という社会の仕組み

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ちくまプリマー新書
税という社会の仕組み

  • 著者名:諸富徹【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2024/05発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
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  • ISBN:9784480684844

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内容説明

税を納めたくない気持ちはどこからくるのだろう。税は使い道を選択し、払うことができるものだ。世界や日本の税制の歴史、問題点や展望を見つめ民主主義を実現するための税という仕組みを考える。 【目次】第1章 私たちはなぜ税金を納めるのか/第2章 税制の歴史的発展/第3章 日本の税制の発展史/第4章 これからの世界と税金/第5章 税金を私たちの手に取り戻す

目次

はしがき/第1章 私たちはなぜ税金を納めるのか/1 税とは何か/税を払いたくない思いはどこからくるのか/税は選べるもの/行き過ぎた株主主権/2 税は「近代」の産物──私たちに課税する権力(国家)は、どのようにして正当化されるのか/市民が国家を「制作」した/変化する国家の役割/「家産国家」から「租税国家」へ/3 税は誰が集め、誰が払うのか、払わなかったらどうなるのか/4 税は義務か権利か──民主主義と税制/5 税の哲学──公平性とは何か/税金の根拠は何か──「応益説」と「応能説」──/税の公平性/6 国家と経済──結節点としての税/ケネーの重農学説と土地単一課税/自由主義か、経済介入か/「財源調達手段としての税金」「政策手段としての税金」/「小さな政府」「大きな政府」/第2章 税制の歴史的発展/1 近代は税金から始まった──市民革命期のイギリス/所得税は「税制の王様」/革命期前後のイギリスの税金/内国消費税の問題点/外形標準課税の失敗と所得税の誕生/申告納税制の失敗/アダム・スミスの国家論と税金/2 国家にとって税金とは何か──19世紀ドイツの財政学/国家と市民は一心同体/有機体としての国家/スミスの「自然的秩序」/「社会改良」と税金/経済活動の動機は一つではない/「社会政策」としての税金/ドイツ財政学と近代日本/3 公平課税を求めて──19・20世紀アメリカの所得税/戦費調達のため所得税を導入/人民党とヘンリー・ジョージの土地単一課税/二大政党の激突と「下から」の税制改革/所得税をめぐる複雑なる闘い/憲法改正と所得税恒久化に向けて/4 大恐慌の後で──ニューディール税制の挑戦/世界大恐慌はなぜ起こったか/史上最強の政策課税/第3章 日本の税制の発展史/1 前近代の税制/公地公民原則による班田収授法/国家危機を背景に集権体制がつくられた/封建制の誕生/封建社会におけるさまざまな税/収入源が多様化した室町時代/太閤検地で応能課税に近づく/江戸時代は年貢が主要財源に/百姓一揆頻発の背景は?/先駆的な改革者・田沼意次/天保の改革の失敗/2 明治維新で税の仕組みはどう変わったか/地租改正/所得税・法人税の導入/3 西洋の制度を輸入し、日本社会に定着させるプロセスとしての税制/4 「上からの税制」の副作用/育たなかった「自発的納税倫理」/納税は「名誉」?/下から勝ち取っていく経験の不在/5 戦間期における「現代税制」の確立/1940年に所得税が近代化/戦後まで続いた「1940年体制」/日本における社会政策課税の始まり/6 「シャウプ勧告」による現代日本税制のはじまり/現代税制への出発/なし崩し的に分類課税へ/政策課税となった法人税/自民党税制調査会の大きな権力/7 低成長経済、福祉国家、消費税/社会保障財源確保に向けた消費税引き上げ/課題は逆進性/逆進性はどうしたら解消するか/8 残る課題──歳出と歳入の巨大なギャップをどうするか/第4章 これからの世界と税金/1 「経済のグローバル化」という難題──国境を越えられない課税権力/環境税は新たな社会政策課税/国境を越えつつある課税権力/2 不平等化する税負担/所得税のフラット化で所得の再分配機能が弱まった/資産の海外流出の実態/二元的所得税と「1億円の壁」/法人税率の引き下げ競争「タックス・コンペティション」/進む逆進性/3 多国籍企業と租税回避/租税回避のメカニズム/価格の妥当性をチェックする移転価格税制/租税回避の規模はどれほどか/4 課税権力のグローバル化/グローバル・タックスの導入/税収ロスの解決策を求めて──OECDのBEPSプロジェクト──/時代遅れのルールを見直す/新たな国際課税ルール/デジタル課税の課税権はどう配分されるか/グローバル化税制に対するインパクト/ネットワーク型課税権力の誕生/画期的なグローバル・タックスの誕生/5 21世紀最大の社会問題としての地球温暖化とカーボンプライシング/脱炭素社会の実現に向けたカーボンプライシング/「環境税」の起源/炭素税の導入とその世界的な展開/6 「国家観」の表現としての税金/資本主義と社会政策課税/資本主義システムには軌道修正が必要か/受け継がれる「資本主義観」と租税思想/第5章 税金を私たちの手に取り戻す/1 主権者は財政支出をどのようにコントロールするのか/近代国家を生み出した納税者の反乱/投票で税のあり方を選択するアメリカ/日本でも消費税が政権を揺るがした/開いていく歳入と歳出のギャップ/2 税は権力者による苛斂誅求の手段ではない──納税者主権の視点から考える/国家予算は「社会的価値」の反映のプロセス/社会的価値をどう選択していくか/1990年代、日本でも「財政民主主義」の制度的基盤が実現/官僚主導から政治主導へ/公共財と税負担を民主主義的プロセスで選ぶ/3 税制の発展史/時代とともに税金は変化する/何が税制を変えていくのか/4 政府支出とその効果/影響に関する情報とその開示の重要性/どうすれば税の使い道を選択できるのか/アメリカの仕組み──費用便益分析の義務づけと議会調査局の役割/EUの仕組み/支出に対する事後チェック・評価機関の重要性/アメリカの自治体レベルでの取り組み/5 「自由落下法則」──放っておくと格差は広がる/課税の公平性について問題提起し、是正を求める必要性/社会改革の手段としての税金

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

44
O図書館。足による投票:自分の自治体と近隣自治体の公共サービスを比較し、税負担に対して良質な公共サービスを提供してくれれば、そちらに引っ越すこと(13頁)。選ばれる、選ばれない自治体になるようだ。アダム・スミスは消費税には渋っていたことがわかる(63頁)。財務省や税制調査会はこの事実を知るべきだ。不平等だし、価格転嫁されて物価騰貴し、結果、経済に悪影響なので、経済政策として望ましくない、とスミスは喝破している!! 140頁の消費税の逆進性も重要だ! 142頁にあるように、単一税だけでは失敗だ! 2024/12/23

よっち

40
私たちはなぜ税金を納めるのか。税を納めたくないという思いはどこからくるのか。税制の歴史、問題点や展望を見つめ、民主主義を実現するための税という仕組みを考える1冊。ヨーロッパを中心に発展した世界の税制の歴史を紐解きながら、日本ではどのような税制が行われてきたのか、国境を超えて連携を始めた課税ルールといった最近の変化を踏まえて、主権者として税金をどう考えるべきなのか。アメリカのように頻繁な政権交代のない日本ではイメージしにくいですが、手段としての税の使い道を選択するような形はあってもいいのかもしれないですね。2024/05/30

kei-zu

21
税の意義と歴史的な変遷をわかりやすく解説する。市民革命以後の欧米の流れも興味深いが、日本の税制の発展史に紙幅が割かれており勉強になる。グローバル化が進み、国際的に協調が求められる中、税の性格も変わっていくとのこと。2024/06/15

Francis

16
租税と言う現代に生きる私たちの生活と切り離せない仕組みについて幅広く、そして出来るだけ分かりやすく書かれた本。近代社会では市民革命を通じて納税は人民の権利であり、税は国家に公共的な事業を実施してもらう対価として払うものである、と考えられていることを前提にして租税制度の歴史、経済のグローバル化・デジタル化により大企業の税逃れが加速しそれに対して対策が立てられつつあること、地球温暖化と対策としての税、これから税制・財政と民主主義はどのような関係にあるべきか、を論じている。詰め込み過ぎな観はあるけど是非一読を。2024/07/31

awe

8
相変わらず諸富氏の著作は面白い。一般に納税は義務とされ(日本国憲法でそう規定されている)、痛税感という言葉があるように、日本では「お上」に嫌々納めるものというイメージが強いが、しかし納税はむしろ市民の「権利」なのではないかという問題提起から始まる。例えば欧米では革命により政権を奪取したりと「下からの突き上げ」により新体制を構築することがあったが、翻って日本ではそのような経験はない。所得税や法人税の導入について欧米では一悶着あったが、日本はといえばそうした制度を真似して明治に導入しただけである。税制について2024/10/20

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