ちくまプリマー新書<br> ネットはなぜいつも揉めているのか

個数:1
紙書籍版価格
¥1,012
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

ちくまプリマー新書
ネットはなぜいつも揉めているのか

  • 著者名:津田正太郎【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2024/05発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684837

ファイル: /

内容説明

日々起きる事件や出来事、問題発言をめぐって、ネットユーザーは毎日のように言い争っている。他人が許せないのは、対話が難しいのはなぜか。物事の見え方に違いが生まれるのはなぜなのか。背景にある社会やメディアのあり方を考える。 【目次】第一章 「表現の自由」をめぐる闘争/第二章 ソーシャルメディアの曖昧さと「権力」/第三章 エコーチェンバーの崩壊と拡大する被害者意識/第四章 「不寛容な寛容社会」とマスメディア批判/第五章 二つの沈黙、二つの分断/終章 単純さと複雑さのせめぎ合い/あとがき

目次

はじめに/第一章 「表現の自由」をめぐる闘争/1 私の炎上体験/きっかけのツイート/押し寄せる批判/「パブリック・エネミー」になる/ネットバトルの波/2 表現の自由をめぐる論点/アニメ表現の影響とは何か/「公共の場所」とはいかなる場所か/名作の「アップデート」は認められるか/作品解釈の多様性/3 表現の自由とヘイトスピーチ/表現の自由のコストを誰が負担するのか/第二章 ソーシャルメディアの曖昧さと「権力」/1 ネット炎上とはなにか/「間メディア環境」におけるネット炎上/「間アプリ環境」の出現/2 文字だけのコミュニケーションの困難/闘うパソ通ユーザー/言葉が人間をつくる/3 メディアとしてのインターネット/インターネットのコミュニケーション特性/曖昧なソーシャルメディア/メッセージ解釈のズレ/4 対等性と社会関係の摩擦/ソーシャルメディアの対等性/ソーシャルメディア内の「権力」/「アテンションへの注目」と過剰評価/第三章 エコーチェンバーの崩壊と拡大する被害者意識/1 被害者の地位をめぐる競争/ネットバトルにおける被害者意識/「傷つきやすさ・弱さ=純粋さ・誠実さ」/非難される被害者/2 米国における政治的分極化とその背景/イデオロギー的分極化と感情的分極化/意見産業化・激怒産業化するメディア/被害者政治の背景/偽りの分極化はどのように進行するのか/「嫌がらせ」としての政策志向/3 怒りのソーシャルメディア/インターネット上での対立はどのように説明されてきたか/緩やかなエコーチェンバーの崩壊/「聞いて」はいるが「耳を傾けない」/「火事と喧嘩はネットの華」か?/被害者政治の帰結/第四章 「不寛容な寛容社会」とマスメディア批判/1 変化する日本社会/座席交換をめぐる論争/品行方正になった日本社会/寛容さの広がりと個人化/2 マナー向上のパラドクス/新たな迷惑行為の発見/乱反射する迷惑/3 マスメディア批判の焦点/マスメディアは信頼されているか/批判される原因はなにか/迷惑行為としての取材/変化する記者/4 「不寛容な寛容社会」の持続可能性/快適さの代償/第五章 二つの沈黙、二つの分断/1 ソーシャルメディアは民主主義にとって危険なのか/危機に瀕する民主主義?/民主主義国家の強みと弱み/陰謀論とフェイクニュース/2 民主主義にとっての沈黙の意味/沈黙の螺旋/もう一つの沈黙/埋没する多数派/二つの沈黙、二つの分断/3 望ましい沈黙、望ましい分断/価値判断をめぐる問題/フェミニズムとトランスジェンダー/争点と境界線/終章 単純さと複雑さのせめぎ合い/陰口としてのカテゴリー化/シニシズムとは何か/シニシズム・陰謀論・ポピュリズム/他者の目に映る世界/単純さと複雑さのせめぎ合い/注/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

48
あとがきの大石裕教授には、2006年慶應通信SSでマスコミュニケーション論にて懐かしく思い出した。個人化が進む社会だからこそ、迷惑行為も。人それぞれを侵害する行為。主体的とみなされる他人の決定に干渉する行為が批判されやすくなる。自粛警察を事例にされている(157頁)。被害者のプライバシー保護は、企業や自治体、警察の不祥事隠蔽の名目に用いられることもあるようだ(171頁)。事件や事故で氏名が報道されるが、加害者、容疑者が後になって判明したり、迷宮入りしたりする事件もある。ネット社会の健全性とは何か? 2024/12/28

yuni

37
某アニメの内容について個人的な意見をツイートして「炎上」騒動になったメディア社会学者が自らの経験を踏まえて、SNS上の言い争いについて考察した内容。ネット上が公共性の高い場所だという意識が欠落していると、それが世間的にモラルに反することであれば、迷惑行為だと多くの人が解釈して、炎上することは火を見るより明らかである。本書では政治の話が多めだが、身近なところで言えば推し活などでも同じ価値観の人が集まる中で極端な意見を発信する人がいれば分断が発生する。ネット論争は根深い問題でこの先も無くなることはないだろう。2024/07/18

よっち

36
日々起きる事件や出来事、問題発言を巡って毎日のように言い争っているSNS。他人が許せず対話が難しいのはなぜか。自身も炎上を経験したメディア社会論者が分析する1冊。アニメの感想を書いたら炎上した実体験も踏まえながら、メッセージ解釈はいかにしてズレていくのか、同じような価値観や考え方の意見ばかりに触れやすい状況、快適な社会のパラドクスと新たな迷惑行為の発見、リスクを恐れての沈黙で多数派でなくなる皮肉、複雑なことよりも単純なことの方が伝わりやすいなど、テキストでコミュニケーションを取る難しさを改めて感じました。2024/05/30

山口透析鉄

33
これも市の図書館本で、やはり色々と示唆に富む内容でした。Twitterの匿名性に起因する極端で無責任な意見、いくらでも見れるでしょう。実際は発信者たるには色々と配慮しきれない利用者は一定いるでしょうから、いつも揉めているように見えるのかも知れません。(Xに変わって良くなった点が見えないので私も未だにTwitterと書いています) 社会の変遷との関係等の指摘もなるほどです。マスメディア不信は今に始まったことではないですが、批判する側もピンキリなので、やはり知の基礎体力はいるのでしょう。(以下コメント欄に)2025/05/05

28
ネットを通じて社会を見ることで、ユーザーは日夜こちら側とあちら側に分ける境界線を引き続けているのかなという気がする。そしてそれを利用するのが激怒産業。あちら側の醜悪さをことさらにアピールして民衆を焚きつけ、分断を生じさせている…というイメージを持った。ただ分断は、権力者がさまざまな意見を封じて画一化させているのではないという意味では必ずしも悪い現象ではない。2025/02/27

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21916794
  • ご注意事項

最近チェックした商品