不合理な原子力の世界 行動科学と技術者倫理の視点で考える安全の新しい形

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不合理な原子力の世界 行動科学と技術者倫理の視点で考える安全の新しい形

  • ISBN:9784909542595

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内容説明

原子力の世界(原子力業界)は、一般の人から縁の遠い謎めいた世界。福島原発事故が起きるまで、日本の原子力関係者は「原発で大事故は絶対起こらない」と本気で信じていた。そのような原子力関係者のリアルな生態系を、行動科学(認知バイアスや集団心理)と技術者倫理の研究者らがわかりやすく解説する。

様々な原子力関係者のインタビューを通じて見えてきたのは、人間には到達できないゼロリスクや無謬(むびゅう)を追い求めた結果、皮肉なことに安全対策が疎かになったという複雑なストーリー。
ゼロリスクや無謬を目指せば必ずしも安全性が高まるわけではなく、逆に安全性が低下する場合もある。それが福島原発事故を招いたのではないか。

人間や組織には限界があるにもかかわらず、その限界を認めずに理想を目指す姿は、福島原発事故後も変わっていない。
福島原発事故という大きな失敗から私たちが学ぶべきことは、「人間には到達できない理想を追い求めても、いずれ破綻する」という事実。

本書で取り上げている「安全神話」と「無謬神話」は、どんな業界でも起こる可能性がある。
原子力関係者のみならず、産業安全や組織マネジメントに関わる人々にとって、安全や組織のあり方を見直すきっかけになる一冊。

原子力の世界は極めて不合理で、常識では考えられないようなことがたくさんある。
そのような世界に住んでいる原子力関係者たちの言動をよく観察してみると、人間や社会の本質に関わる重要な事実も発見できる。

原子力の世界は不合理だらけ。でも、意外と奥が深くて興味深い世界でもある。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くものすけ

9
行動科学で解明する技術者倫理の内容に少々寒気がしました。フクシマ原発事故が起こる前は殆んどの技術者は原発が事故を起こす訳がないという”確信”に満ち溢れていた様子が描かれています。中の一人でもこういう問題がありそうだとの意見が出すとひとたまりも無くもみ消されてしまうという異様な世界…安全神話は脆くも崩れ去ったにも関わらず政府、電力会社、関連企業は原発再開に舵を切る”暴挙”、原発に替わるべき再生エネルギー開発に頭を切り替えるべきでは、原発、火力発電設備はすべて座礁施設と言われるように、今後徐々に廃絶の方向へ…2024/08/22

Tomonori Yonezawa

5
地元Lib▼24.4/10 初版㐧1刷▼7+補章254頁、章題省略。主に柵の内側の連中を行動科学(認知バイアスとか集団心理)で語る失敗学の縁戚本。▼面白く読めた。内側の経験有は「まぁそんな感じだよね」と共感した。▼連中は優秀だし真面目。「失敗してはならない」「絶対に〜」ってな倫理観・志みたいなのもある。そのせいで…あぁやめときますw▼原子力に限らず大規模な組織に属する人間の行動について応用が効く。5章の利得フレームへの転換のところ考えさせられた。▼コラム③、全く同じ体験と対策で笑った。▼SALEでなら🈶2024/10/12

RedDirtMarijuana

2
かっちりしたネイティブ・エスノグラフィー本というわけではないけど元原発運転員による原子力関係者へのインタビューが載っているというのは類書もあまりなさそう2024/11/17

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