内容説明
できないことを、数えないで。
どうやって生きていいのか分からない。
自分を責め続ける、小説家志望の私。
夢を抱いた仕事に躓く、会社員の夫。
そして、インコのピピ。
心理サスペンス『誰かが見ている』でメフィスト賞を受賞した著者が挑む新境地。
小さな家族の幸せをめぐる物語。
――美景はうまいことやったよなー。
旦那に稼ぎがあるから、なんの心配もないだろ?
パートでお小遣い稼いでたらいいんだし。(略)
傍から見れば、なんの悩みもなく、苦労もなく、ぼんやりと生きているように映るのだろう。(略)
うまくいかない自分を責める妻の気持ちを、想像することもできないのだろう。――本文より
美景と雄大は結婚して十年。
ある日、妻の書斎に入った夫は何か様子が違っていることに気づく。
ままならない毎日をどのように生きてきたかを語り出す二人。
小説家になる夢を叶えたかった美景。
夢を抱いた仕事に躓く雄大。
二人をつなぐインコのピピ。
メフィスト賞作家の新境地となる、小さな家族の幸せを探す物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
30
十年目を迎えた雄大と美景の結婚。不精な妻の書斎でゴミ回収していた時に「戸建てを売るときのコツ」を見つけてしまう、小説家と会社員の夫婦が二人の幸せを探す物語。いろいろ波乱含みだった美景と雄大の結婚に至るまでの経緯。周囲にやり方を認められなくてうつで休職した雄大。一方で小説家になる夢を諦められず、上手く行きかけてもどこか不安になってしまう美景。不器用すぎるゆえにすれ違いかけた二人でしたけど、向き合って話し合って関係を終わらせるのではなく、少しずつお互いを理解して前に進もうとする姿に救いを感じられた物語でした。2024/05/15
ゆきらぱ
29
はじめはハラハラするような、暗さのある新婚生活が始まった雄大と美景2人の話。それぞれの欠点に対峙してからは強くなっていくが、始めはそれぞれの家庭環境が色濃い。結婚て若いうちにする人が多いからこうして長い時間をかけて修正できていくのが醍醐味なのかもしれない。共通の友人「高橋」がうざい。なにかと美景に嫌味な質問をする。こういう人っているなあ、私にも随分昔ではあるが、こんな風に夫がいない時を見計らいいつまで働くのかとかいつ辞めるのかとかからむような質問をする友人がいた。懐かしい!どうしてるかなあ、でも今も嫌いだ2025/06/26
mayu
25
繊細で敏感な夫と一つの事に集中がちで不安感の強い妻。それぞれ種類は違えど仕事や外部の人付き合いが上手くいかない二人。妻が「どうしてできないの」と自分に苛立ったり、夫が生活の中の細かい所が気になる所にあぁ、わかるなぁと共感する部分の多い私も2人と同じく生きづらい人間なのだなぁとしみじみ。互いの行動を理解できず不安に感じながらも相手の事を想っていて、噛み合わないのがもどかしい。最後の夫の言葉にすべてが集約されている気がする。お互いの存在に助けられているんだよねと一つの夫婦の形を感じられた一冊。2024/05/16
はる美
6
ままならない日々を過ごす夫婦二人が交互に語る物語。 初読み作家さん。とっても読みやすかった。生きづらさを感じながらも二人がお互いを必要としていて、お互いを受け入れ合って生きていく様に共感しかなかった。こういう形の家族だっていいじゃないかって思う。 自分たちの生活みた?ってくらい共通点が多かったせいか、途中少しヒリヒリした。 2024/06/19
rie
4
夫婦のどちらにも共感できるところがたくさん。 夫婦が夫婦であり続ける理由をいろいろ考えさせられた。
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