講談社現代新書<br> 王墓の謎

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講談社現代新書
王墓の謎

  • 著者名:河野一隆【著】
  • 価格 ¥979(本体¥890)
  • 特価 ¥499(本体¥454)
  • 講談社(2024/05発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 120pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065358122

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内容説明

「王墓はなぜ築かれたのか?」
本書のテーマは、この素朴な疑問である。
エジプトのファラオが築いたピラミッド、中国の皇帝たちが造った山稜など、
人類史には王の埋葬のためのモニュメントが数多くある。
それらは、王が自らの権力を誇示するために築造したと考えられている。
したがって、王墓の大きさは権力の大きさに比例する、
王墓は王の権力の象徴にほかならない、という理解が常識とされており、
教科書にもそう書かれている。
しかし、本書ではこの定説に真っ向から反論し、
新たな視野から王墓を理解することを目的とする。

本書では、王墓にまつわる次のような謎に挑む。
・「王墓=権力の象徴」説は、いかにして定説になったのか
・王墓は、権力者が命じた強制労働の産物なのか
・墓造りのエネルギーを、なぜ農地の拡大や都市整備に投下しなかったのか
・葬られたのは「強い王」か「弱い王」か
・高価な品々が、なぜ一緒に埋められたのか
・なぜ人類は、世界各地で王墓を築いたのか?
・「大洪水伝説」が残る地域と、王墓の誕生した地域が重なるのはなぜか
・王墓は、危機に瀕した社会が生き残るための最終手段か
・王が神格化され強大な権力を持つと、王墓が衰退するのはなぜか

この本は、「王墓=権力の象徴」というステレオタイプな理解で停止してしまっている
私たちの思考を根本から問い直すものである。

王墓は、王自らの権力欲のためのものではなく、
人々が自ら進んで社会の存続を王に託した時に、はじめて誕生する。

王墓は、王を神へ捧げるための舞台であり、
権力や富の集中を防ぐために、人類が発明した優れた機構なのだ!

古代史ミステリーの「定説」を覆す、必読の書!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

34
「王墓はなぜ築かれたのか」王墓は王の権力の象徴にほかならないというこれまでの常識に、新たな視野から王墓を理解することを目的とした1冊。王墓が権力の象徴であるという説はいかにして定説になったのか。なぜそのエネルギーを農地拡大や都市整備に投下しなかったのか、高価な副葬品がなぜ一緒に埋められたのか。王墓が築かれなかった社会と比較しながら、史的唯物論や威信財経済という王墓建設を考えていくアプローチだったり、距離的に遠いエジプトと中国で同じような陵墓が築かれている点など、着眼点がなかなか面白い1冊になっていました。2024/06/04

k sato

28
王墓は権力の象徴なのか。巨大建造物と豪華副葬品から成る巨大墓。考古学ではそれら建造物を一括りに王墓と呼ぶ。しかし筆者は王墓が誕生しなかった世界も想定し、神聖王権や威信財経済と絡めて巨大墓誕生の起源と衰退に迫る。社会安寧のために、神聖なる墓を建造し人畜犠牲を奉納した儀式がエスカレートして富の証として魅せる王墓に変貌したとする仮説は興味深い。民主化・都市化・宗教化が進み王墓の建設ブームが去ったのは自然の流れだった。人畜を犠牲にする概念が廃れていくのは当然だ。しかし善悪含め人類が歩んだ軌跡を葬る訳にはいかない。2024/08/18

ta_chanko

24
王墓の役割は、人々が威信財と(死ぬことで神格化される)王を埋葬することで富の偏在を防ぐとともに、社会の再生と安寧を祈願すること。王権が強化されると、葬送は王の個人的行事となり、多くの人々が参加するものではなくなった。葬送も簡素化され、殉葬された人や動物も兵馬俑や埴輪など代替物にとって代わった。さらに国家権力が強化されると、「現在」が重視され、循環的時間感覚も衰退。さらに絶対的な神を信じる世界宗教が生まれると、巨大な王墓も姿を消すことになった。これまでの通説を覆す、画期的な新説。2024/07/21

qwer0987

15
王墓が巨大化し貴重な品が埋葬された理由を比較考古学の見地から推察しており目を引く。巨大な王墓が築かれたのは権力論によるものでなく、宗教的な意味合いによる。神に捧げるため王墓は築かれ、埋葬される王は神と結びつく弱い王だった。しかし神聖王権はやがて民と距離ができ、王墓も私的なものとなって王も権力化。王墓をつくる動機が薄れ、都市化の進展に伴い王墓も衰退する。それは非常に筋が通った話だが少し筋が通り過ぎている。私の無知ゆえか、本当に?と思える論旨もあった。しかし内容自体は刺激的である2024/08/05

さとうしん

15
比較考古学の観点から世界の王墓の果たした役割や造営の経緯などを議論する。威信財経済学の考え方や王墓が築かれなかった社会も検討対象とするという方針、エジプトと中国の始皇陵の葬送複合体の設計プランが一致するといった指摘などは面白い。しかし当時の人々がある種の原罪意識によって自ら進んで過酷な王墓の造営に参加したのではないかという想定など、所々疑問に思いつつ読んだ。2024/05/18

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