内容説明
亡くなった夫に頭を撫でて欲しいと願った妻。亡き母の髪を泣きながら洗った美容師になりたての娘。お気に入りの洋服を着て何度も抱っこされた、小さな体の重さ……。故人を棺へと移す納棺式にひとつとして同じものはない。悲しく辛い時間。しかし、生と死のはざまのごく限られた時間に、家族は絆を結び直していく。4000人以上のお別れをお手伝いしてきたベテラン納棺師が出会った、家族の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
53
著者の経験を交えながら、納棺師の仕事について詳しく紹介した本。全く知らなかった仕事だったので、興味深く読みました。悲しい別れのことを書いてある箇所もあるので、この部分は読みながら泣きそうになりました。特に最初の夫を亡くした女性の話は心に残ります。なぜかずっと笑っていて、その理由が分かった時は胸がいっぱいになりました。決してお涙頂戴の感傷的な本ではなく、仕事の厳しさも多く書かれています。現代人は死から目をそらしがちです。でも、死を免れることはできません。死に直面する勇気を与えてくれる良書でした。2026/01/04
aki
30
納棺師と聞けば、映画「おくりびと」が真っ先に浮かぶ程に、当時(16年前)はとてもインパクトがあったけど、38歳で納棺師となった著者が、故人とその遺族と向き合っていく中で感じたことや、コラムとして豆知識が語られている。400人以上のお別れのお手伝いをされてきたとの事だけど、それは家族ごとに様々で本当にたくさんのドラマがあり、自分の父が亡くなった時の事やそれからの父との向き合い方、今も健在な母の事と色んな想いが去来した。納棺師の方が故人に施すお仕事の時間は遺族にとってかけがえのないひと時をもたらしてくれる。2024/07/01
ぷら
8
納棺師のお仕事エッセイ、なんて言うと軽すぎるかな。薄くて読みやすいからあっという間に読み終えたけど、時間は濃密だったと思う。 極力、心は動かさないようにして読んだ。頭だけで捉えるように。それでも危うく泣きそうになる場面もあった。 生まれて生きて死ぬこと。その中でも特に死の儀礼に関心があるのはなぜなんだろう。見送るということ。死は、他人、自分以外の命を通したものしか経験できない。 親しい人の死は怖く不安で経験したくないけど、私は看取る側がいいな。私を看取らせたくない。私は全員を送ってからひとり残っていい。2026/08/08
ごま麦茶
5
納棺師である筆者さんがお手伝いした、幾つもの納棺式のお話。死はすぐ近くにあるけれど、極力考えないように、見ないようにしてしまうけれど、この本を読んで、改めて考えさせられました。納棺師というお仕事のことも知れてよかったです。その時は、バタバタしていて実感がなくて、何がなにやらのまま進んでしまった家族との別れ。改めて、紙の上の納棺式をやってみたいと思わせてくれる巻末のでした。2024/12/10
きあ
4
納棺師と言う職業は映画『おくりびと』で知っていましたが、私自身納棺式は20年近く前の祖母の経験が最後で覚えていない事の方が多く、唯一清拭をした時に祖母の皮膚が冷たかった事だけ覚えてました。今も遺影があるので顔などはわかるのですがやっぱり声はもう分からなくなってしまいました。 この話を読んで父母の声を動画出残しておこうかなぁと思いましたね。お母さんが絵本を読んでいる録音を納棺式の時に流していた話を読んで。2024/06/29




