内容説明
びっしりつまった年中行事、出世を阻む厚い壁、ひっきりなしの問い合わせ…。平安貴族の日常は想像以上に過酷だった。彼らの人生サイクル、仕事、昇進にスポットをあて、みやびなイメージとは程遠い、貴族社会のリアルな姿を解明する。古記録などの豊富なエピソードをもとに官位のしくみや昇進ルートを平易に解説。王朝文学を学ぶ人にもおすすめ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
55
読み友さん本。太政官で文書管理・作成などの実務を担っていた外記や史の職務や昇進ルートを中心として、平安時代の貴族の仕事と昇進について記述している。当初は順調に出世して、受領などにもなることができた外記や史だが、しだいに人事異動が行われなくなり、同じ職務を長期間担当することで特定の家系の人々が同一の役職を担当することになった経緯は興味深く読むことができた。仕事を効率的に行うよりも先例を踏襲することでミスを発覚させることなく仕事を行うことが大切だったとする指摘は現在の官僚も同様なのだろうと感じた。2023/10/13
Toska
20
平安貴族と聞いて一般にイメージされる公卿(三位以上)だけでなく、諸大夫(五位以上)と侍(それ以下)も取り上げられていて、平安時代の官僚ガイドブック的な仕上がり。彼らの日常的な業務と、生涯のキャリア形成の双方を追うことで、貴族たちの生態を立体的に捉えている。電話もメールもない時代のこととて、下級者はとにかくあちこち走り回らなければならず、大変な激務だった。しかもガラスの天井どころではない厳然たる身分の壁があり、何人たりともこれを乗り越えることはできなかった。2024/10/31
浅香山三郎
16
平安期の貴族社会の実態を諸記録より精査。公卿・諸大夫・侍といつた朝廷の構成員たちが政務、儀式にどう携はつたのかを詳説する。朝廷に仕へる人々は、階層ごとに出世のコースが規定され、仕事のなかで踏まへるべき先例や事前調整が必要な世界だつた。けして優雅な世界ではなかつた。六位の外記など儀式の執行役にとつてはかうした激務と、受領への任用、叙爵による褒賞などがセットになつてをり、彼らの奔走により、朝廷の日常が維持されてゐたことがよくわかる。2023/05/07
MUNEKAZ
12
平安貴族は優雅に遊んでたんじゃないよ、一生懸命お仕事していたんだよ系の一冊。貴族の最上層である殿上人ではなく、その下の諸大夫や侍層にフォーカスした内容。軍隊の下士官でないが、組織の屋台骨である彼ら中下層の頑張りで、朝廷の政治が維持されていたのがよくわかる。上司は置き物で現場任せとか、若手ばっかりに激務が回ってくるとか、ゴリゴリの先例主義とか色々と身につまされる人も多いのでは。なんだかんだいって平安貴族も「お役人」だったんだなぁと、妙に納得してしまうところである。2024/03/18
スプリント
12
平安貴族のヒエラルキーが理解できた。 具体的に実在の人物の例を多数取り上げて解説しているが鎌倉幕府の要職についた氏族もでてきてイメージがしやすかった。2023/05/27




