内容説明
変化する社会の中で生きていくのに必要な力を付けるための教育改革は,国語教育に何をもたらしたのか? 「PISA型学力」にも合致した基本方針である新たな学習指導要領が「文学観が狭い」「実用性の偏重」と批判されてから数年が経ち,現場はどうなったのか.中学,高校,大学で幅広い実地経験をもつ教育者二人が問題提起.
目次
はじめに
第一章 「PISA型学力」と国語
第二章 教える側の対応
第三章 「実用文教育」の実践例――大学の教室から
第四章 文学作品の「論理」――高校の教室での実践例
おわりに
コラム 言語とは何か
コラム AI.SNS時代の国語教育
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とある内科医
19
図書館より、ざっと読み。文学的な文章でも、論理的な文章でもない実用的な文章の、国語教育における取り扱いについて。著者らの問題意識は伝わってきたが、支持派の意見や学生側の意見はいかに。2024/06/25
Aby
7
「国語」の教育がどういう構造になっているのかを,そもそも知らない.……が,第3章「実用文教育」の実践例で大学での「履歴書が書けるようにする授業」が興味深かった.どの実用文でも,相手が誰で,何を理解して欲しいのかを読み取った上で書く.一人よがりにならないためにも,読む力が要求される.それにしても,大学の半期15コマを使ってやることではなかろうに……2024/06/20
oooともろー
6
教科書改訂で「現代の国語」に小説が一斉に入り出した。笑うしかない。2025/05/12
Hachi_bee
3
「論理国語」とか「文学国語」とかの科目名は、「現代国語」「古典Ⅰ乙」などで育った者にとって却ってなんのこっちゃっていう感じ。英語の「論理表現」もだ。 おかしなことになっている肌感覚があったが、本書で本当におかしなことになっているのだとわかった。 思うに、文部科学省にpolicyなく、文部科学省は経済産業省の外局の様になってしまったことの証左ではなかろうかと。 「なぜ国語を学ぶのか」「読解力を身につける」を近いうちに読んでみようと思う。2024/11/11
manabukimoto
3
村上慎一先生のコラム(p40)が秀逸。言語とは何か?一義的にはコミュニケーションのためのものではなく、世界を概念化して認識するためのもの。 世界の理解、他者の理解、そして自分自身の内面の理解を深め広げるために、論理的文章だろうが文学的文章だろうが、読むことが必要。 ある大学では「日本語表現」という科目で半期15コマを使い履歴書の書き方を教えるという。とほほ。 実用的な文章を学校現場で教えることの違和感は激しく同意。 梶井の「檸檬」と芥川の「蜜柑」の構造読解に唸る。読むことの醍醐味。 大阪大学附属図書館蔵書2024/10/18




